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北朝鮮メディアが連日、今年の「豊作」を宣伝している中、軍後方総局の傘下機関が備蓄用穀物を確保するため農場員を強く圧迫し、軍民の葛藤が激化しているという。

デイリーNK平安北道(ピョンアンプクト)の情報筋は、「トウモロコシの収穫が終了し、軍がトウモロコシの買収を進めているが、ある農場で最近、トウモロコシの質をめぐって5.14基地関係者と農場幹部の間で乱闘まで起きた」と伝えた。

軍後方総局傘下に置かれた「5.14基地」は、道内で生産されるすべての農業生産物を対象に軍需動員計画量を買い入れる仕事をする機関だ。

問題の発端は、農場で生産されたトウモロコシの水分含量に関する論争だった。 農場員たちは水分含量をなんとか少なく表記しようとし、5.14基地関係者たちは水分含量を高く計測して穀物を多めに持っていこうとした。それが乱闘にまで発展したという。

穀物を買い取る機関は水分測定器を持ち歩きながら稲やトウモロコシの水分含量がどれくらいになるかを測定するが、水分が基準値以上の場合、穀物を多めに要求する。そのため水分含量を測定する際には、軍人と農民の間で神経戦が繰り広げられるのが当たり前になっているという。

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この農場でもトウモロコシの水分含量をめぐっていざこざが起き、5.14基地関係者が先に農場員を殴ったことで、大きな争いにつながったという。

特に農場の副経理がひどい怪我を負って病院に運ばれる事態となり、これを目撃した農場員たちは「骨身を削るように農業をして軍に献納しているのに、親ほども年上の人を殴るとは何様のつもりか」と怒りを爆発させたという。

平安北道の別の情報筋も「武装した軍人たちが軍糧米の買い上げのために農場にやってきて緊張した雰囲気を作り出しており、農場員たちの不満が大きい」と話した。

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軍は例年、軍糧米を確保するため農場に見張りを立ててきたが、今年は実弾まで支給し「コメを盗む者は撃て」との方針を示している。

情報筋は「本来なら収穫の30%だけを国家に納めれば良いのに、『水分が多い』『石が混じっている』などとして多めに持っていくので、農場員に残るものがほとんどない」と話した。

一方、今年の北朝鮮の稲作の作況は昨年よりは良いというのが情報筋の話だ。 ただ、北朝鮮の劣悪な食糧状況を改善できるほど十分な量ではないうえ、軍糧米などを納めれば、実際に住民に還元される量はほとんどないという分析が優勢だ。

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北朝鮮農業分野の専門家であるグッドファーマーズ研究所のチョ・チュンヒ所長は「昨年と比べるとコメの作況が良いということであって、北朝鮮の食糧難を解決する水準ではないだろう」とし、「住民が体感できるほど食生活が改善されるためには、依然として相当量の輸入が必要だ」と話している。