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北朝鮮のトレンドを知る上で欠かせない場所が公設市場だ。食糧事情を知る目安の一つとなる穀物の価格に注目が集まりがちだが、最新のファッション、グッズなども非常に興味深い。

一部の特権階級を除き、皆が皆同じような服を着て、同じような物を使っていた1980年代以前では考えられなかったような、消費者の心理を刺激する商品の数々が売られている。

そんな市場を見て育った北朝鮮の子どもたち、そして若者たちは、欲しい物を買うためにバイトに励むようになった。それが悲しい事故へと繋がった。平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

事故が起きたのは、中国との国境にほど近い平安北道の塩州(ヨムジュ)でのことだ。今月初旬、埠頭に停泊していた木造船の夜間警備をしていた15歳の少年が、高波で船が揺れたことで海に投げ出された。別の少年がすぐに気づき救おうとしたが、波に阻まれてしまった。塩州郡安全部(警察署)は、少年が既に死亡しているものと見て、捜索を行っている。

この悲しい事故の背景には、北朝鮮経済の現状がある。

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塩州には黄海で漁を行う木造船が多数存在するが、網などの備品や船そのものが盗まれる事件が起きているようだ。コロナ禍の北朝鮮では、経済的苦境に直面した人々が生きるために犯罪に手を染める事例が多く報告されている。

(参考記事:美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた

監視カメラも自動警報装置も入手が困難で、あったとしても電力不足でまともに使えない北朝鮮では、人を雇って警備をさせるのが最も手っ取り早く確実だ。船主たちは、少しでも人件費を抑えようと、賃金の安い中高生のバイトを雇うことが多い。中高生は、コロナ禍で苦しくなった家計を助けるために、学校に行かずに働きに出る。だが、それだけではない。

(参考記事:「近づく者は撃て」穀物盗難が相次ぎ緊張する北朝鮮の農場

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「中高生は最初、家計を助けるために仕事をするが、自分の稼いだお金でレザージャケットを買ったり、夢にまで見たスマートフォンを買えるようになったことで、徐々にカネの魅力に取りつかれ、学業そっちのけで働くようになる」(情報筋)

今回の事故をきっかけに、そのような状況が明るみに出た。

安全部は、漁師を呼びつけて取り調べを行い、中高生を違法に雇っているケース、漁をさせているケースなどを多数確認した。北朝鮮の刑法は、個人が個人を雇って賃金労働をさせることを禁じている。

(参考記事:学校をやめて父親を養う北朝鮮の少年「くるまクン」

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また、朝鮮労働党塩州郡委員会(郡党)は、塩州郡人民委員会(郡庁)の教育部の担当者を呼びつけて叱責し、学校の出席状況を確認するよう命じた。それを受けて各学校では、徹底して出席を取るようになり、バイトをさせないように厳しく統制している。

郡党は、コロナ明け以降に、登校せずに卒業証書だけを受け取って卒業する現象を完全になくせとも指示した。

一連の事態を受けて、漁師の間では緊張が走っているが、それも今だけと思われる。ほとぼりが冷めれば、また中高生をバイトとして使う状況に戻るだろう。警備する人を雇って船の盗難を防ぎたい漁師と、稼いで家計を助けて、自分のものも自由に買いたい中高生という、需要と供給が存在するのに、人為的にそれを抑え込むのは無理があるからだ。