バックレる労働者が続出する「金正恩住宅」の危うい現場

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北朝鮮の金正恩総書記が進めるメガプロジェクト「平壌5万世帯住宅建設」の一つとして、平壌市内北西部の西浦(ソポ)地区では、今年中に4000世帯分の住宅を完成させるとして工事が進められている。

デイリーNK内部情報筋によると、工事に当たっているのは、平安南道(ピョンアンナムド)速度戦青年突撃隊だ。この「突撃隊」とは、国が進める建設工事の現場に「嘆願して」向かった人々の部隊を指す。もちろん、「嘆願」は表向きだけで、実際は半強制だ。

現場に送り込まれるも、実際に働いているのは全体の6割強に過ぎない。残りは「病気になった」として帰宅したまま現場に復帰しなかったり、無断で離脱したりしている。理由は、あまりの労働環境の悪さにある。

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青年突撃隊指揮部は、離脱者を連れ帰ろうとしているが、どこからか情報が漏れたのか、自宅を訪ねても既にどこかに身を隠していることが多く、いたとしても親が出てきて「連れて帰るなら子どもではなく私にしろ」と激しく抵抗する。

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以前はめったになかったというこのような離脱が、最近では急増しているようだ。その理由は、あまりの労働環境の悪さにある。

別の情報筋は、動員された人々が栄養失調に陥るなどとして、出勤率が7割に満たないと証言する。彼らに出される食事はトウモロコシ飯、トウモロコシ麺、塩漬けの大根、大根の葉っぱのスープだけで、いつも貧弱な突撃隊の食事だが、栄養失調になる人がこんなに多いのは初めてだという。

それだけの食事で1日10時間も働かされ、充分な休みも与えられないため、耐えきれなくなって離脱してしまうのだ。あまりの待遇の悪さに工事にも支障をきたしている。

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「西浦地区建設現場から逃げる青年突撃隊員が増え続けており、速度戦で建設を進めるのが難しい状況」(情報筋)

(参考記事:「金正恩住宅」の断末魔…現場で倒れる人が続出

突撃隊はもともと、成分(身分)が悪く軍への入隊ができない人が、社会的に認められるために行くものだった。金日成時代は、兵役より服務期間が短く、早く社会生活が初められるというメリットがあった。しかし、今では単に、深刻な労働力不足を補うためのものに過ぎない。青年同盟は、それと同時に若者の愛国心を高めると宣伝しているが、突撃隊に入らされれば、むしろ国への反発が大きくなるだろう。

突撃隊の同じ発想で行われているのが「嘆願事業」だ。農村や鉱山など、誰も行きたがらないところに、若者自らが「嘆願して」向かうというものだが、もちろん半強制だ。こちらも現場からの離脱が相次ぐなど、様々なトラブルが起きている。

(参考記事:もはや「就職詐欺」というべき北朝鮮の嘆願事業