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北朝鮮政府が力を入れている、農村での住宅建設。各地では入居を祝う集会が行われ、その様子は国営メディアを通じて全国に宣伝される。ただ、新居引き渡しが終わったとしても、すぐに住めるわけではない。

北朝鮮では一般的に、新築住宅の内装工事は入居者が自費で行うことになっている。長くつらい冬を乗り切るための暖房施設も同じだ。

伝統的な家屋では、かまどに薪をくべ、温めた空気を床下に這わせて部屋を暖めるオンドルが使われる。現在では、薪の代わりに練炭が使われることが多い。床には油紙を敷いて煙が漏れないようにするが、それでも一酸化炭素中毒による死亡事故が後を絶たない。

(参考記事:「焦げ臭い匂い取り締まり班」の活動を妨害する知人の犯罪

そこで人気を集めているのが「無動力ボイラー」というものだ。建設ラッシュの起きている慈江道(チャガンド)の熙川(ヒチョン)では、その工事を行う技術者が足りずに困っているという。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

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熙川では、入居前の内装工事に合わせて、無動力ボイラーと暖房の設置工事を行うのがトレンドとなっている。この無動力ボイラーというのは、炊飯器のような形の機械で暖めたお湯を、床下に設置した塩ビ管に通して部屋全体を暖めるというもの。電力は、ソーラーパネルで賄うようだ。

旧来型のオンドルの場合、就寝前に練炭をくべても、夜中に一度新しいものに交換しなければ朝には寒さで目が冷めてしまう。無動力ボイラーの場合はその必要もなければ、一酸化炭素中毒のリスクもなく、練炭の購入費用もかからないというわけだ。それで、少しでも経済的に余裕のある家は、こぞって無動力ボイラーを設置しようとする。

(参考記事:擦り切れた防寒服で氷点下30度の極寒に耐える北朝鮮の貧困層

ところが、設置することのできる技術者の数には限りがある。そこで、友人や知人の人脈を辿り、他の市や郡から腕利きの技術者を呼び寄せようとするのだが、かなり早めに予約しておかないと来てもらえない。

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また腕前に加え、高価・高品質の韓国製や中国製の資材を入手できる技術者ほど重宝がられる。

「市場にあまり出回らない南朝鮮(韓国)製の暖房温水管が一番丈夫だと評判で、それを持っている技術者の需要が最も高い。貿易関係者も、中国を通じて、南朝鮮製の資材を取り寄せて一儲けしようとしている」(情報筋)

当局は反動思想文化排撃法、平壌文化語保護法、青年教養保障法と、相次いで韓国の文化コンテンツやその影響を排除するための法律を施行、取り締まりを行っている。もちろん、韓国製品の販売や所有、使用もご法度だ。しかし、さすがの当局も、床下の配管が韓国製か否かまではチェックしない。

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表向きは金正恩総書記と朝鮮労働党に忠誠を尽くすフリをしていても、床下には豊かな憧れの国、韓国をちゃっかりと埋めているのだ。

(参考記事:15年やっても効果ない「韓国語禁止令」を繰り返す北朝鮮