人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

北朝鮮の金正恩が公式的に登場した以後、党・軍の高位幹部の子息たちに対する人事特恵が広範囲で行なわれていると伝えられた。特恵を通じて、金正恩体制と運命共同体だという認識を植え付け、忠誠心を確保するためのものだという分析だ。

(北朝鮮内部に)精通する対北消息筋によると、金正恩後継体制が構築される過程で前職幹部らの2世たちが指導層に浮上したのに続き、現職高位層の子息たちも一斉に核心幹部層に仲間入りしたことが分かった。

実際、金正恩が後継者として公式登場した2010年9月の党代表者会で、いわゆる「抗日パルチザン」など前高位層の2世たちが指導部に上がった。新任の労働党書記・部長の中には前職高位幹部の息子や娘婿などが多数含まれていた。

労働党国際秘書の金永日(キム・ヨンイル)と総務(行政)書記の太宗秀(テ・ジョンス)はそれぞれ、前国家検閲委員長チョン・ムンソプと前副首相ジョン・イルリョンの婿であり、50代という若い年齢で労働党部長に昇進した呉日晶(オ・イルチョン)は前人民武力部長・呉振宇(オ・ジンウ)の息子だ。

また、前人民武力部長の崔賢(チェ・ヒョン)の息子である崔龍海(チェ・リョンヘ)は、労働党書記はもちろん、軍大将階級と共に労働党中央軍事委員にも任命された。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

内閣では前外務相の白南淳(ペク・ナムスン)の息子である白龍天(ペク・リョンチョン)中央銀行総裁、人民保安部長の李明秀(イ・ミョンス)大将の甥である李竜男(イ・ヨンナム)貿易相などが労働党中央委員会に進出した。また、外務省第1部長の金桂冠(キム・ゲグァン、前副首相キム・イルリョンの娘婿)と次官のイ・ヨンホ(前党組織指導部副部長イ・ミョンジェの息子)が次官級としては珍しく労働党中央委員会候補委員に起用された。

対北消息筋は「このような超高速昇進・起用は前職高官である親・義父を持つ背景が作用したものと見える。特にイ・ヨンホの父であるイ・ミョンジェは党宣伝扇動部と組織指導部で副部長を務め、金正日書記室でも勤務したことのある金正日の最側近」と説明した。

更に、軍では抗日パルチザン出身で国防委員会副委員長を務めたオ・ペクリョンの息子であるオ・グムチョル副総参謀長、海軍司令部政治委員のオ・チョルサンが揃って労働党中央委員会の委員・候補委員に起用された。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

これらの人物は金正日死亡時の葬儀委員会に大部分含まれており、党政治局員以上は金正恩の弔問に同行したり、金正恩に代わり弔問客らを迎えるなど主導的な役割をしたというのが対北消息筋が伝える話だ。

◆党・軍の次世代実務責任者、高位層の子息ら大挙登用

これとともに、次世代の実務責任者層にも高位層の子息らが一斉に登用されている。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

労働党中央委員会の専門部署(19カ所)の副部長や内閣次官など各分野の実務責任者らの中にも、前・現職の高位層子息らが相当数任命されている。

組織指導部副部長であるチェ・フィは前建設相チェ・ジェハの息子であり、金日成総合大学の卒業と青年同盟書記を歴任するなど、エリートコースを経て、現在は組織指導部の党生活指導担当副部長として在職している。

労働党国際部には、現職の党中央検閲委員長の金国泰(キム・グクテ)の娘であるキム・ムンギョンと軍副元帥のイ・ハイルの娘婿として南アフリカ共和国駐在大使出身であるパク・グングァンが副部長として勤務している。

労働党統一戦線部にも金正日の元主治医であるイ・ヨングの息子として貿易相を務めたイ・グァングンが副部長として在職しながら、外資誘致業務を遂行している。最近、外務省党書記に抜擢されたホ・チョルは前党書記ホ・ダムの息子であり、前第2経済委員長キム・チョルマンの息子キム・テヒは金日成大学の党責任書記だ。

内閣貿易省にも高位層2世が数名、次官として在職中だ。

貿易省次官オ・リョンチョルの父は前万景台革命学院長オ・ジェウォンであり、次官イ・ミョンサンの義父の弟で前副主席であるキム・ヨンジュ、次官チェ・ヨンの父は前建設相チェ・ジェハだ。チェ・ジェハの息子が2人とも党と内閣で重要な実務職務を担当しているわけだ。

最近、商業省次官に昇進したイ・ソンzは、人民武力部長・金永春(キム・ヨンチュン)の娘婿であり、逓信省シム・チョルホは、前社会安全部政治局長シム・チャンワンの息子だ。

加えて、労働党部長級以上に就く高位幹部の子息たちの半分ほどが勤務環境が良好な外交・貿易分野で勤務している。

国防委員会副委員長の張成沢(チャン・ソンテク)の甥であるチャン・ヨンチョルがマレーシア駐在大使を務めているのをはじめ、外交分野の責任者である副総理・姜錫柱(カン・ソクチュ)、党書記・金永日(キム・ヨンイル)などの子息の相当数が現在海外公館に派遣されている。

チャン・ヨンチョルは北朝鮮大使らが通常4年の任期後に帰国するのとは異なり、ネパール駐在大使の任期を終える前である任期3年目に、そのまま比較的労働環境が良好なマレーシア大使として勤務地を変更して特恵を受けた。

一方、軍首脳部である軍総参謀長・李英稿(イ・ヨンホ)の息子(イ・ソンCル)、人民武力部長・金永春(キム・ヨンチュン)の婿(チャ・ドンソプ)、国防委副委員長の李勇武(イ・ヨンム)の息子(イ・チョルホ)、軍政治局副局長・金元弘(キム・ウォノン)の息子(キム・チョル)などは、貿易会社の責任者として外貨稼ぎ.投資誘致などの対外活動に従事していることが分かった。

対北消息筋は、「このように、現職の高位幹部の子息たちの外交.貿易分野への進出が多いのは対外活動の経験と実績を積めるため。何よりも、海外勤務を通じて質の高い生活と子息の教育が可能であり、金儲けにも有利である」と説明した。

◆現職高位幹部の姻戚が高速昇進…キム・オクの弟、金日成大学の第1副学長に任命

特に、現職高位幹部の子息の場合、所属機関の人事で2段階高い職務に抜擢されたり、最年少の閣僚に任命されるなどの高速昇進が行なわれている場合もある。

内閣総理・崔永林(チェ・ヨンリム)の娘・チェ・ソンフィは、昨年6月に崔永林が首相に起用された直後、外務省米国極研究員から課長を経由せずに直接副局長に昇進した。内閣貿易相・李竜男(イ・ヨンナム)は、金正日の軍部最側近中の一人だった人民保安部長・李明秀(イ・ミョンス)の後押しで局長を経由せずに次官に昇進したのに続き、2008年には当時48歳で最年少閣僚に起用されたことがある。

労働党財政経理部副部長キム・ヒョの息子で、金正日の内縁の妻・金玉(キム・オク)の弟であるキム・キュンは昨年45歳で金日成総合大学の教員から総長職を代理する第1副学長に任命された。

これら高位幹部の子息たちは、高位層である親と同様にシンガポール・ドイツをはじめとする先進国の病院を利用するなど、各種の特典を享受している。

対北消息筋は「北朝鮮の前・現職高位幹部の子息たちへの優遇は実績・能力ではなく、金日成・金正日との特別な関係や血縁によるものであることを示している。特に最近になってこのような『代継ぎ』がさらに拡大しているのは、金正恩の三代世襲定着のために権力層を「運命共同体」としてまとめ、忠誠心を確保しようとしてのこと」と分析した。

しかし、消息筋は「特権層を形成することで大多数の専門官僚層はもちろん、一般住民たちの不満を買うことになり、最終的に体制団結力を弱める結果を招くという批判が多い」と強調した。