朝鮮中央テレビには嗚咽する人々の姿が繰り返し映し出された。その中には3回以上登場したシーンもあった。60代初盤と見える住民は手を繰り返し上げ下げし、カメラが早く過ぎ去るのを祈っているかのようだった。
遺体を運ぶ行列が戦勝通りを過ぎる時は、女性たちが体を揺らし「嗚咽する」姿をぼうっと見ている住民の姿まで捉えられた。前列に立っている住民らは体を大きく揺らし泣いているが、中間地点より後方に立っている住民らの中には寒さに顔を歪めてそわそわする姿も見られた。
労働党宣伝扇動部の指揮の下、徹底的に計算された上で撮影した映像であるにもかかわらず、あちこちでミスが見られた。徹底した監視と統制の中で行なわれた告別式だが、人々の心まで隠すことはできなかったようだ。
じっと立っていた人がカメラが近づくや、目を覆い体を揺らしながら涙を流す人の姿もカメラに捉えられた。下を向いていてカメラが近くに来るのに気付かず、ぼうっと眺めるだけの人も目立った。
このような姿は金日成氏の告別式の際には想像もできなかったことだ。