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かつて北朝鮮で、金正恩総書記の祖父である故金日成主席や、父の故金正日総書記の呼称として使われていた「オボイ」という言葉。親という意味の朝鮮語だが、金正恩氏がそう呼ばれるようになったのは、最高指導者の座についてから10年後の2021年のことだった。しかし、30代半ばの彼を「オボイ」と呼ぶことについては、朝鮮の年齢秩序において違和感のあるものだった。

そして今月発行された文書には、金正恩氏を、より直接的な言葉である「アボジ」(父)と呼んでいるのが確認された。文字通りの「人民の父」となったわけだが、また不満の声が上がっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

北朝鮮が今月発行した勤労青年向けの学習会の提綱(レジュメ)。そのタイトルは次のようなものだった。

「敬愛する父金正恩元帥様に学ぶ学習会」

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、この学習提綱は、青年同盟(社会主義愛国青年同盟)系の出版社である金星青年出版社が発行したもので、公式文書で金正恩氏を「アボジ」と呼んだのは初めてだと述べた。

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また、金正恩氏が娘のジュエさんを伴って様々な行事に登場したのは、自らを「人民のアボジ」にするための事前作業だったと思われると述べた。

(参考記事:金正恩「娘のジャケットは19万5千円」国民からブーイング

しかし、1984年1月8日生まれで、今39歳と言われている金正恩氏のことを「アボジ」と呼ぶことについて、若者の間では違和感が広がっている。

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北朝鮮で青年、若者とされるのは35歳までだ。14歳で青年同盟に加入し、36歳になると朝鮮職業総同盟や農業勤労者同盟に加入することになる。つまり、青年同盟員といえども人によっては数歳しか違わないのに、金正恩氏のことを「アボジ」と呼ばなければならないということだ。

両江道(リャンガンド)の情報筋は、この学習資料を受け取った若者の間で衝撃が広がったと伝えた。

「同年代の若者たちが金正恩氏をアボジと呼ぶはめになった」(情報筋)

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学習会では、金正恩氏をアボジと呼ぶように強いて、通常行われる金日成氏、金正日氏の生涯についての紹介を省き、いきなり金正恩氏の業績を学習させる流れとなった。呼称に加え、このような金正恩氏神格化の思想教育に強い不満の声が上がっているというわけだ。

(参考記事:「聞くだけでイライラ」金正恩の思想教育に国民は限界

なお、金日成氏が「アボジ」と呼ばれるようになったのは、1966年の朝鮮労働党の初代書記長となった翌年、金正日氏は、金日成氏が存命だった1992年からだ。このときから公式行事では、参加した子どもらに金日成氏を「ハラボジ」(祖父)と呼ばせている。

2011年12月に政権についた当時の金正恩氏は推定27歳。北朝鮮の常識としては、人々の上に立つにはあまりにも若く、「青二才を誰が好むと言うのか」(2010年10月、咸鏡北道の情報筋の発言)という言葉に代表されるように、その若さがネックとなっていた。下手に反発を買うことを恐れてか、「アボジ・アピール」は避けていたようだが、最高指導者になってから11年経ち、「そろそろ解禁してもいいのではないか」と考えているものと思われる。