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金正日の死亡後、後継者金正恩が急速に権力を掌握している。 指導、首班、最高司令官など、過去に金日成や金正日にだけ付けられた称号を金正恩が手にしている。これだけでも金正恩が1人支配体制を構築するにあたって大きな障害がない事が証明された。首領体制では、年齢は大きな問題にはならない。首領という象徴的な地位を受け継ぐことがカギだからだ。

実質的な最高権力者である首領の選出方法が明文化されていない状況では、最高実権者の指名が、政治的正統性になる。個人国や家産国家(国家を君主の世襲財産とみなす国)では、伝統的な支配が慣行化している。

金正日は2010年9月に金正恩を後継者として指名した。革命伝統継承者である金正恩に挑戦する勢力はいない。政治的挑戦は組織の名で断罪される。挑戦した個人だけでなく、3代が犠牲となる。北朝鮮の首領制は史上の如何なる独裁体制よりも指導者に最高の権威と権限を集中させた。それだけ強力である。

この様な背景から分権型の集団指導体制の登場は有り得ず、ナンバー2も存在しない。何故なら受領制の終焉と体制崩壊を意味するからである。体制崩壊は「金日成教」の崩壊である。首領制が変化しない根本もここにある。

唯一的な存在である金正恩は、有能な師弟らの集団補佐を受ける。補佐陣は叔母の金慶喜(キム・ギョンヒ)と夫の張成沢(チャン・ソンテク)、父親の友人である李英鎬(リ・ヨンホ)、父の後輩の崔龍海(チェ・リョンヘ)などの革命先輩らである。忠誠心だけで結ばれた彼らは、一丸となって金正恩を補佐するだろう。権力が高度に集中された首領体制では、派閥の存在はあり得ないからだ。

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組織の利己主義も容認されない。党が先か軍が先かという議論も意味がない。首領の後継者が力を与える部門が最高権力集団になる。金正日は経済難と安保問題から生存手段として軍を指名した。なので現在は、軍が最高権力集団である。

金正恩は先軍政治を持続するしかないだろう。経済難と安保問題が解決されておらず、今後も簡単に解決する可能性が低いからだ。 12月22日付けの労働新聞の社説では、先軍という単語が21回も登場した。

これは金正日の「遺訓」でもある。2010年9月の党代表者会で党組織が復元されてはいるが、党組織だけでは難関を乗り越えて行くのは難しい。特に、党の下部組織は経済難によってほとんど崩壊している。下部組織は腐敗しており、住民の支持も受けられずにいる。軍が政治に介入するしかない理由である。

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では、先軍を通じて首領絶対体制を維持している北朝鮮を我々はどうすべきか?

北の最大の弱点をつかなければならない。徹底した首領制にも穴はある。北朝鮮体制が維持されているのは、強力な物理的な制御、上層部への配給を通じたエリートの統合、抵抗することを知らない住民の量産(愚民化)の3つだ。この中で最大の弱点は愚民化である。経済難が深刻化し配給が中止されて、住民は生存に向け商売を始めた。

一部の住民は配給がなくても生きて行ける様になった。この結果、首領に対する忠誠心が弱まったのは当然である。市場には外部情報があふれており、取り締まりもに歯向かうのも日常茶飯事だ。下級官僚の腐敗は尋常ではない。しかも、商売が出来ない住民は首領と将軍を恨み、「戦争が起きてしまえばいい」と心の中で叫んでいる。愚民化政策が弱体化しているのが実情だ。

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このような状況を乗り越える為に、北朝鮮指導部は外部からの脅威を限りなく増幅させる。米韓の小さな過ちも誇張して体制と政権維持のために活用する。特に、李明博政権下ではこれがさらに酷くなった。

北朝鮮は李明博大統領を「逆徒」、すなわち悪魔と規定して攻撃することで、内部の統合を成し遂げようとしている。原罪者である北朝鮮は抜け、米国と韓国だけが中心部に残された。経済難と安保問題の責任を米国と韓国にかぶせる作戦である。

したがって、我々は如何なる口実も与えてはならない。北朝鮮が対北強硬策を使うように誘導する罠に陥ってはならない。むしろ韓国や米国がサタンや悪魔ではない点を強調しなければならない。今、食料を支援しているのが米韓である事を知らせなければならない。高度な戦略が必要な時点である。

金正恩時代が固着化される前に多くの住民の心を捕らえるために、戦略的食料支援を行うのも一つの方法だろう。もちろん、北朝鮮が毒ニンジンを簡単に食べるとは思わない。しかし、もし食べるとなると、重要な政治日程が多い2012年に南北関係が安定する短期的な効果を得る事ができ、これをうまく活用すれば長期的な効果も期待できる。