日韓の防衛当局は13日、北朝鮮が同日午前、日本海へ向け弾道ミサイルの可能性のあるものが発射されたと発表。これを受け、日本政府は同日午前7時55分、「国民保護に関する情報:J-ALERT(消防庁)」として、次のように警告を発した。
直ちに避難。直ちに避難。直ちに建物の中、又は地下へ避難して下さい。
ミサイルが、08時00分頃、北海道周辺に落下するものとみられます。直ちに避難して下さい。
全土識別 全土ではない
地域(都道府県) 北海道
その後、海上保安庁は防衛省からの情報として、落下地点は北海道沖の海上だとした。さらにその後、北朝鮮から発射されたミサイルのうち1つが北海道とその周辺に落下する可能性はなくなった旨が発表された。しかしいずれにせよ、こうした事態が繰り返されるリスクは、今後ますます増えてくる可能性がある。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は3月4日、核戦力の強化は、日米・米韓同盟の軍事力増強に対抗するものだとして正当化する、外務省軍縮・平和研究所の研究者ク・ヨンチョル氏の論評を配信した。論評は「『敵基地攻撃能力』確保を公式化した日本の『トマホーク』巡航ミサイルの導入と極超音速ミサイル開発策動は、米国とその追随勢力の軍備増強の動きが許容できない危険ラインを越えている」と非難している。
また、金正恩総書記の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は2月20日に発表した談話で、「太平洋をわれわれの射撃場にする」として、日本列島の上空を通過するコースで弾道ミサイルを発射する可能性を示唆した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮は2017年8月にも、米領グアム島の軍事基地を弾道ミサイルで包囲射撃する作戦を計画しているとする声明を発表したことがある。
声明を発表した朝鮮人民軍戦略軍は、「アンダーセン空軍基地を含むグアムの主要軍事基地を制圧、けん制し、米国に厳重な注意信号を送るために、中・長距離戦略弾道ロケット『火星12』型でグアム周辺に対する包囲射撃を断行するための作戦方案を慎重に検討している」としながら、「金正恩同志が決断を下せば任意の時刻に同時多発的に、連発的に実行される」などとしていた。
このときは、翌年から北朝鮮とトランプ政権との対話が急速に進展したこともあり、グアムに対する包囲射撃は実行されなかった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮が、本当に太平洋を「射撃場」にすれば、北東アジアの安保情勢が一気に緊張するのは間違いない。米国からの圧迫も格段に強まるはずだ。
それを承知で実行する覚悟が金正恩氏にあるかは未知数だが、トランプ政権時代のような「対話の機運」がしばらくは期待できないのも、また事実だ。
もっとも、北朝鮮が最近発表する談話や論評をよくよく読んでみると、日本列島越え射撃の実行に走る「勢い」はあまり感じられないのも事実だ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面1990年代の大飢饉「苦難の行軍」以来とされる食糧難の中で、果たしてどれだけの行動が取れるのだろうか。
(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為)