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韓国で毎年11月に行われる大学修学能力試験。試験会場前では受験生への応援合戦が繰り広げられる。中には、校門に餅をペタっと貼り付ける人もいる。これは「くっつく」と「合格する」が同音異義語であることから由来した一種の合格祈願だ。

実はこの儀式、北朝鮮でも行われているが、当局は迷信だとして取り締まりに乗り出した。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋によると、新義州(シニジュ)師範大学の構内で、入試期間中に50グラムほどの大福餅が貼り付けられているのが発見された。その場所が問題だった。

「偉大なる革命思想万歳」と書かれたスローガンの「大」の字の下だったのだ。同様の行為は市内の農業大学、教員大学でも見つかった。全国的に行われた調査では、同様の行為が50件も発見された。

このように、スローガンなどの宣伝物を毀損することは違法行為だ。北朝鮮を旅行中に逮捕・抑留され、後に釈放されたものの死亡したオットー・ワームビアさんも、ホテル内のポスターを盗もうとしたことが逮捕のきっかけだった。

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情報筋によると、北朝鮮では餅以外にも、合格祈願のため大きくて長く伸びる朝鮮の飴を貼り付けることも行われている。

報告を受けた中央はこれを問題視して、「大学試験過程において受験生の間に迷信行為が起きたことと関連し、受験生に対する思想戦を繰り広げることについて」という指示を下した。

社会安全省(警察庁)は道・市・郡の安全部に指示して、迷信行為の取り締まりに乗り出した。新義州市内では、安全員(警察官)が占い師の家を急襲、占い師、客ら10数人が逮捕され、客は労働鍛錬刑(短期の懲役刑)3カ月、占い師は労働教化刑(懲役刑)1年の判決を受けた。

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占いを含めた迷信行為は、北朝鮮では刑法で定められた違法行為だ。しかし裏では広く行われており、占いの客の中には幹部も多いことから、取り締まりが行われることはさほど多くなかった。これは、当局が迷信行為の中でも宗教、中でもキリスト教をより危険視していたことも関係する。しかし今回の件をきっかけに、占いに対する集中的な取り締まりが行われることとなった。

(参考記事:「公開処刑でも止められない」平壌市民の“禁断のお楽しみ”

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋も、清津(チョンジン)鉱山金属大学と第一師範大学で、正門の受付の裏の壁と生け垣に大きな大福餅が貼り付けられているのが発見されるなど、複数の迷信行為が摘発されたと伝えた。

若者への思想教育を強化する内容の「青年教養保障法」が採択されて以降、初めてのケースとなるため、摘発された人にどのような処罰が下されるかはまだ明らかになっていない。

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(参考記事:男女8人を吊し上げの刑…北朝鮮が手を焼く「若者の乱れ」

餅や飴を張り付ける行為が以前からあったものなのか、最近の流行りなのかについて、情報筋は言及していない。もし後者であるとしたら、韓流コンテンツの影響を受けた可能性も排除できないだろう。

当局が、他愛のないおまじないの取り締まりに熱中している裏では、試験問題の売買、受験担当者の買収など、様々な「汚受験」が繰り広げられている。

(参考記事:北朝鮮で毎年繰り返される大学の受験不正