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2011年の大学入試センター試験(現大学入学共通テスト)では、携帯電話を使ったカンニング事件が発生。翌年から、携帯電話は鞄の中にしまうこととなった。韓国の大学修学能力試験では、前年に起きた大規模なカンニング事件を受け、2005年から携帯電話の持ち込みが禁止されている。

さて、北朝鮮では大学入学試験ではなく、朝鮮労働党の政策を宣伝する政治講演会や学習会の会場に、携帯電話の持ち込みが禁止されるようになった。その理由はなんだろうか。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋によると、今月9日に殷山(ウンサン)郡文化会館で開催された、朝鮮社会主義女性同盟(女盟)の党政策学習会では、参加者の携帯電話の持ち込みを禁じ、入口で一時的に没収した。このようなことは今までなかったことだという。

学習会に参加した女盟員は80人ほどで、携帯電話を没収されたのは20人。1時間半あまりの学習会の後で返却された。学習内容は、昨年末の朝鮮労働党中央委員会第8期第6回総会拡大会議の内容を聞いて筆記するものだった。女盟員は、人民に努力と闘争を求めるありきたりの内容のどこが秘密なのかと、携帯電話の回収に不満を述べた。

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、新義州(シニジュ)郊外の楽元(ラグォン)機械連合企業所で今月6日に行われた住民講演会の参加者は、会場の小会議室への入場時に携帯電話を預け、終了後に受け取ったと伝えた。

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党の宣伝扇動部が定期的に行うこの手の学習会で、携帯電話が回収されたのは今回が初めてだ。金正恩氏の誕生日(1月8日)の特別警戒期間であるための臨時的な措置なのか、内容の流出を恐れたのかについては説明がなかったが、今後も続きそうだというのが、情報筋の見方だ。

これと言った目新しい内容もないのに、携帯電話を回収するなど住民統制に気を使う当局のやり方には批判の声が上がった。

特に問題のない内容でも、自分たちの預かり知らぬところで情報が国外に流出してしまうことを極度に嫌う北朝鮮は、重罰を持って取り締まりに当たっている。しかし、「国外流出させるな」という指示文書が国外流出してしまうほど、グダグダな体制だ。

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いずれも携帯電話で書類を撮影し、メッセンジャーアプリを使って国外に送信する形で行われていることから、このような措置を取ったのだろう。

(参考記事:機密文書の国外流出を戒める文書が国外流出してしまう北朝鮮

レジュメの持ち出しや筆記の禁止など、当局は様々な手法を使っており、情報流出の防止に相当苦心している様子がうかがえる。さて、今回の携帯電話持ち込み禁止は効果があるのだろうか。

(参考記事:「秘密主義国家」北朝鮮で深刻化する機密情報ダダ漏れの実態