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毎年12月17日は、2011年に亡くなった金正日総書記の命日だ。この日のみならず、政治的に重要な日、重要行事が行われる前後は、一切の事件、事故の発生が許されない。そのため、特別警戒態勢が敷かれる。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、道人民委員会(道庁)と安全局(県警本部)に対して、社会安全省(警察庁)から、将軍様逝去日(金正日氏の命日)哀悼期間に、一件たりとも事件、事故が発生しないように、また政治的行事に欠席者が出ないように、行政的、法的措置を取るように指示が下された。

道内の市、郡の人民委員会(市役所)は、洞(末端の行政単位)、人民班(町内会)に対して、事件、事故の発生防止対策を解説すると同時に、哀悼期間に餓死する者が出ないように住民の面倒を見るように指示を下した。

深刻な経済難、食糧難により、貧困家庭はもちろんのこと、裕福な暮らしをしていたが、商売に行き詰まり餓死する人が発生している。

(参考記事:北朝鮮で最悪の食糧難「ジャガイモの皮」が生命線

道内北東部の山岳地帯に位置する孟山(メンサン)郡の人民委員会は、人民班長に対してこんな指示を下した。

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「人里離れた山の中に掘っ立て小屋を建てて暮らしている世帯を把握し、訪問せよ」

北朝鮮国民の生活の基本は、組織生活だ。すべての人が職場や学校で何らかの組織に所属し、そこで思想教育を受け、行事に動員され、配給を受け取る。しかし、配給は途絶えたのに、様々な理由で金品を徴収され、工事などに動員されるなど、組織に属するメリットは少ない。そんな煩わしさを嫌い、山ごもりして暮らす人々がいるのだ。

特にコロナに関する規制が厳しくなり、経済難と食糧難が深刻化したこの3年で、山に入る人が急増したというのが、情報筋の説明だ。衛星写真で確認すると、人里離れた山中に、開墾されたと思しき農地や建物のようなものが各地に点在しているのが確認できると言われる。

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当局は、山ごもりしている人たちは死に直面しているとして、居場所を把握して定期的なケアを行うように何度も指示を出しているが、金正日氏の命日を控え、餓死者が出ることのないように、改めて指示が出されたのだ。

(参考記事:生活苦に喘ぐ北朝鮮の人々が取った選択は「この世とおさらば」

安全部と人民委員会も、過去3年間に住民登録をしている住所に住んでいない人をリストアップし、山ごもりしていないか、或いは行方不明になっていないか確認作業を行っている。なお、行方不明者は、脱北した可能性のある者として政治的な問題になる。

(参考記事:「絶対に見逃すな」北朝鮮警察が神経を尖らせる”行方不明者たち”

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また、人民班から供出させたコメ3キロと冬服を持って、山ごもりしている人を訪ねて手渡し、「将軍様逝去日を迎え、国は人民大衆第一主義の思想どおりに、苦しむ人民を訪ねて困ったことを解決するよう強調した」として、朝鮮労働党の配慮であると宣伝しているという。

さらに、週に1回は村に降りてきて、思想教育に参加し、17日の金正日氏の命日の政治行事には無条件で参加するように命じた。そればかりか、山の中に住む4世帯を1組にして、うち1人を組長に任命し、哀悼期間中に何か起きないかを確認し、報告せよと命じた。これでは、平地の人民班と変わらない。

山ごもりしている人たちは、物資提供は歓迎しつつも、「われわれは山の中に隠れ住むコチェビ(ホームレス)のようなものだ。行方不明になっていないか、死んでいないか週に1回安否確認に来るのか」と、再び統制の手が伸びてきたことに不安を感じているという。

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