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北朝鮮の住宅地には、小さな警備哨所(検問所)が設けられている。これは、町内に不審な人物が侵入しないか、許可なく他人の家に泊まる者はいないかを見張るもので、人民班(町内会)の住民が交代で警備に当たることになっている。

このような監視システムを強化する法律が制定されたと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、朝鮮労働党咸鏡北道委員会は先月24日、「家庭警備法」についての布置(布告)を一斉に発した。市内中心部の浦港(ポハン)区域の各人民班では、この法律の内容に関する会議が開かれた。それによると、住民の安全な生活を保障するために、住民による自主警備体制を強化するものということだ。

上述のように、町内の入口には警備哨所があり、当番の住民が赤い腕章を巻いて警備に当たっている。今まではただ見張るだけのことが多かったが、今回の法律により、誰がいつやってきたかを記録せずに事件、事故につながった場合、警備に当たっていた住民が罰金刑を受けることとなった。

両江道(リャンガンド)の情報筋によると、町内の警備哨所は3年前から運営されており、24時間体制で警備を行い、外部の人間がやってきた場合には名前、生年月日、職場、訪問理由、そして来た時間と帰った時間を記録するようになっている。

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もともと人の行き来が少ない農村の場合、外部の人間と言っても近隣の村に住む知人の場合がほとんどだ。そんな場合でもいちいち記録しなければならない。村人たちは今回の法律について、人の移動を今まで以上に統制しようとするものだとして、呆れたという反応を示している。

一方、大都市の清津の市民も、移動の自由がなくて商売に苦労してきたというのに、新法でさらに移動を統制しようとする当局の意図が理解できないとの反応を示しているという。

北朝鮮では、市や郡の境界線を越えての移動には、旅行証(国内用パスポート)を取得する必要があるが、市場経済化の進展に伴い、地域間の移動が増え、以前ほどは取り締まりが厳しくなくなったと言われていた。

(参考記事:北朝鮮の「検問所」が「料金所」に変身した裏事情

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しかし、コロナ禍に伴う動揺、食糧難が広がる中、当局は締め付けを強化する対応を取っている。今回の法律もその一環の可能性がある。

なお、朝鮮中央通信、労働新聞など国営メディアは、この家庭警備法について一切報じていない。

(参考記事:移動の自由のない北朝鮮、国民の移動をさらに制限