人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

氏名: キム・ソナ
年齢: 50代中盤
職業: 南浦○○工場 物品供給指導員
中国入国日: 2011年3月

瀋陽で出会った黄海道・南浦出身の50代女性、キム・ソナ氏。親戚訪問を兼ねて中国を訪問し、瀋陽市に臨時居住している。北朝鮮の家族に送るお金を集めているが、パスポートの期限が近づいている。キム氏は席に座ると同時に「私は労働党に加入して国家事業にも沢山携わった」と話を切り出した。

-北朝鮮ではどんな仕事をしましたか?

-黄海道・南浦の○○工場にいた。そこの物品供給指導者だった。(物品は)全て私の手を経て供給された。

-なぜ中国に来たのですか?

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

-貨幣改革のせいで多くのものを失った。以前から朝鮮と中国を行き来していた。朝鮮の人々は、中国は豊かだと言って羨ましがっていた。貨幣改革で全てを失ったので、親戚の助けを借りてまた一から始めようと思って(中国に)来た。

-金日成の時代にはそれでも生活が出来ていたのですか?

-金日成の時代には配給で食べていけた。教育も無償だった。人民学校も大学も全て無料だった。配給もきちんとされていたし、食糧も十分にあった。主席様(金日成氏)が亡くなり金正日の時代が来ると、生活が困難になった。金正日時代には、 国防力を強化するために核爆弾が沢山生産され、そのせいで住民の生活が貧しくなった。全ての物を戦争の準備に使うせいで、配給が出来なくなった。人民は国家にだけ頼って生きていたのに、金正日の時代には人々が貧しくなってしまった。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

-苦難の行軍は、どうやって乗り越えたのですか?

-苦難の行軍の時には、人々が生活することが出来なかった。私は国家のためだけに働き、一生懸命頑張って労働党員になり、大事な仕事を遂行した。しかし、苦難の行軍の時期に入った瞬間、生きる術がなくなってしまった。私を含め、沢山の人が工場をやめたが、仕事もないし、配給もないので、毎日市場に行って商売をした。道端に人が大勢いた。こうして稼いだお金も、後の貨幣改革で全てなくなってしまった。商売を始める資金もないので、生活の術を求めて中国に行こうと思い、朝鮮のお金で6000ウォンを借金して中国に来た。中国に行くと言うと、皆お金を貸してくれた。そうしてパスポートを取得して北朝鮮を出てきた。

-中国に行くと言うと快くお金を貸してくれるのはなぜですか?

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

-人々は中国をこう見ている。中国は豊かだと。利子を要求せずに貸してくれる人もいる。5%で貸してくれる人もいる。朝鮮に帰ったら、お金を返して恩に報いなければいけないと思う。中国に行ってきた後は必ずそうしていたので、快く貸してくれるのだろう。しかし、今回は何故か収支が合わない。なのでこの食堂で働きながらお金を稼がなければいけないと思った。以前はテレビを外して北朝鮮に売ったのだが、今は中国のカラーテレビがあまりにも高い。中国で商品価格が上がってしまったので、この方法も諦めた。これ以上、中国との貿易で儲けるのは難しい。20%の利子もまだ返せていない。

-最近の米の価格は?

-最近は米の価格が上がっているという。今は1800ウォンだが、毎月の様に上がっている。4月には1900ウォン、5月には2000ウォンくらいになっていると思う。

-金正恩氏の私生活について聞いたことはありますか?

-金正恩氏の母親が高ヨンヒ氏だということも、ここに来てから知った。舞踊家だったということも。金正日氏の家系について知っていても、知っている素振りを見せてはいけない。

-最近、金正恩氏に関する内部からの情報はありましたか?

-初めは金正恩青年大将と言っていた。肖像画はまだない。肖像画は金正日氏が死ぬ時くらいに出始めるだろう。首領様の時もそうだったから。

-金正恩氏の偶像化に関する新しい情報はありますか?

-軍を通して偶像化する。我が大将、我が青年大将と。国家的に崇めている。「歩み」という歌も歌う。「歩み」以外にも歌を作り続けている。

-北朝鮮国内で一番の関心事は?

-食べること、生活をすることだ。国家も人民生活の向上に力を入れていると言っているじゃないか。貧しいので、関心事はそれだけだ。統一を望むのも、豊かな暮らしがしたいからだ。お腹が空いているから。お腹が空いていちゃ何も出来ない。

-家族は1日3食食べていますか?

-私の子供達は、私が稼いでいるのでそれでも3食食べている。他の人達はそうではない。夕食にはトウモロコシのうどんを食べる。外部からの支援がなければ、常に3食食べることは出来ないだろう。今はある程度開放されたので、商売でお金を稼いでいる人はそこそこの生活をしている。貨幣改革の時にすっからかんになってしまった人は別としてだ。幹部達はみんな良い暮らしをしている。私の婿の姉の夫は平壌の保衛部で働いている。彼らは白米や油、卵、肉、全て食べることが出来るが、下層の人民貧しい。私の孫達は「おばあちゃん、ゆで卵が食べたい」とせがんでくる。今の北朝鮮は、言葉にすることが出来ない程大変だ。言葉にすることが出来ない。一番の関心事は食べて暮らすことだ。服は私が中国から送ることもあるが、全てきちんと届くことはない。韓国と表示があるものは、税関で全て押収されてしまう。

-住民達の民心はどうですか?
-薄れている。「米びつから人情が生まれる」という言葉があるが、お米がないから民心が薄れている。市場で喧嘩をする人も多い。上が売るなと言ったものを売っている人がいるのだが、そこに言いがかりをつけて喧嘩をすることもある。販売禁止のものを売ろうと「バッタ商売」(販売屋台を持たずに商売をすること。バッタのようにあちこち飛び回る様子から)をする人もいる。人々は苦痛の中で生きている。1食をどうにかまかなおうとやっていることなのに。

-上から特別な指示はありましたか?

-4月だっただろうか、特攻隊というものが出来た。市場で薬の販売を取り締まる人達だ。例えばヒロポン(覚せい剤)などの薬だ。ヒロポン商売はいい稼ぎになるので、ヒロポン商人が増えている。生活が厳しいので、商売が上手く行かない人はヒロポンをよく売っている。個人的に1人で売ることは出来ない。保衛部を間に挟まなければいけない。貨幣改革の時にお金を奪われた人がヒロポン商売をしている場合が多いそうだ。アパートに住んでいる80世帯の内、20世帯はヒロポンを吸っているという。

-どうやって取り締まりをするのですか?

-咸興、平城などで国家的にヒロポンを生産をしているので、生産自体を止めることは出来ないが、問題はその工場の出身者が個人的にもヒロポンを生産していることだ。国家生産、個人生産、両方のヒロポンが市場に出回っている。国家が組織した武装歩哨特攻隊が、市場でヒロポンを売っている人を捕まえる。末の娘の話によると、市場の入口に取り締まり組が立っていて、商品を検査しているそうだ。

-どうして特攻隊を組織したのでしょうか?

-仕事をしたくないと言ってお金も稼がずヒロポンばかり吸っている人が多いから…発電所を作るために青年達が沢山動員されたのだが、彼らはヒロポンを吸って体調が悪いからと言って働かない。体調が悪いのはどうしようもないから。3月末から特攻隊が活動し始めた。あちこちにいる。

-麻薬を売っているのがばれたらどうなりますか?

-連行して取り調べをする。どこで手に入れたのか、誰にもらったのか等色んな事を聞く。しかし、麻薬販売人が幹部の子弟であったり金持ちであることが多く、そういう場合は釈放される。お金のない者は有無を言わさずに逮捕する。そうすると殴られる。殴られて死ぬ前に白状するのだろう。

-家族に麻薬を吸っている人はいますか?

-今はいないが、息子がいつか手を出しはしないかと心配している。

-ヒロポン特攻隊は清津の市場だけにいるのですか?

-全国的に活動している。平壌にも他の地方にもいる。ヒロポンは全国に広がっているので全国的に取り締まっているが、あまり効果はない。取り締まりがあっても市場で売買されている。ヒロポンを買う人は、誰が売っているのか知っている。

-韓国のラジオ放送は聞いたことがありますか?

-外部から北朝鮮に送っている放送を聞いたことがある。ラジオ・フリー・アジア(RFA)を聞いたことがある。中国で生活しながら北朝鮮を行き来する人がくれた。それで韓国の放送を聞いたことがある。国家はこういうものを聞いていることを調査する。何を聞いているのか監視して捕まえる。そうやって取り締まりが行われていても、聞きたい気持ちが強いのを止めることは出来ない。特に平壌の大学生は流行に敏感だ。こういうものを沢山見聞きしていると聞いた。彼らは韓国の歌に合わせて踊ったりもする。駅前で踊っていることもある。

-どんな音楽を聞きながら踊るのか知っていますか?

-韓国の音楽だが歌詞はなく、メロディだけを流している。それに合わせて踊っている。歌詞はダメだが、メロディだけなら許される。初めは青年近衛隊が取り締まっていたが、今はそうではない。私の孫はダンスが上手で、誕生日には必ずダンスを披露する。主に外国に行った父親達がそういったものを持って帰国するそうだ。幹部達が持ってくるということだ。そうやって少しずつ入ってきていたが、最近はあちこちに広まった。最近は軍隊の歓送会でも韓国の歌が使われるという。

-DVDも見ていると聞いた。プレイヤーはどのくらい普及していますか?

-市場で売られているが、VCDもDVDもある。外国を行き来する幹部達がよく持ってくる。主に幹部の子弟達が見ているが、平壌の学生は全員が見たと言っても過言ではないだろう。だから平壌の学生達が韓国の歌を歌いたがったり、韓国の歌に合わせて踊りたがるのだろう。DVDは幹部の子弟が一番見ているが、貧しい人は見ることが出来ない。父親が貿易業や営業をしている人が持ってくる。(実際北朝鮮ではほとんどの不法CDやDVDが密貿易を通して流通している)韓国のドラマも知っている。昔は幹部の子供達だけが知っていたが、最近は一般の人民もみんな知っているし見ている。

-金正恩についてどう思いますか?

-風ァって言うことは出来ない。裏では「子供が何を分かっているというんだ」という話がほとんどだ。どうやって人民を統治するというのだろう?抗日闘士の2世などに、金正恩氏を否定的に見ている人が多い。豪衣豪食してどうする、という意見もある。

-北朝鮮はどうしてこうなったのだと思いますか?

-首領様の時代にはこうではなかった。金正日氏のせいでこうなったのだ。政治の仕方を間違えたのだ。私が思うに、開放をしなかったのが原因だと思う。これからも大変だろう。