「平壌の恋人たち」に襲いかかった北朝鮮兵士らの重大犯罪

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北朝鮮で毎年8月28日は青年節だ。これは、金日成主席が1927年8月28日に朝鮮共産主義青年同盟を結成したことを記念して、制定されたものだ。

平壌市内中心部の4.25文化会館前の広場では、これを記念するイベントが開かれたが、それ以外の各地でも慶祝舞踏会(ダンスパーティー)が開かれた。デートスポットの乏しい北朝鮮では男女のカップルが出会う格好のイベントだが、それが悲劇を招いてしまった。デイリーNK内部情報筋が伝えた。

事件が起きたのは、先月28日午後10時ごろ。平壌市大同江(テドンガン)区域の紋繍洞(ムンスドン)の道を、ダンスパーティに参加した男女カップルが歩いていた。

そこに現れた朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士3人が、女性に「かわいい」などと言い寄り、ちょっかいをかけた。制止する男性に、兵士らはひどい暴行を加えた。女性はすぐに安全部(警察署)に通報したものの、安全員(警察官)が現場に到着したころには、3人は姿を消していた。

意識不明に陥っていた男性は、安全員により近隣の病院に担ぎ込まれたが、翌日息を引き取った。

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女性は、安全部の事情聴取で「酒に寄った兵士が、殴る蹴るの無慈悲な暴行を加え、男性が意識を失った」と具体的な状況や、兵士の顔つき、年齢、階級などを供述した。

安全部はそれを元に捜査を進めているが、軍関係者に対する逮捕権も捜査権がないことから、近隣の軍部隊に捜査協力を要請。そして、和盛(ファソン)地区での住宅1万戸建設に動員されている兵士である可能性が高いと見て、捜査を進めている。

どこよりも治安が守られるべき首都・平壌で、それも記念すべき青年節の日に事件が起きた点を安全部は深刻に受け止め、政治的事案として扱っている。犯人が捕まれば、軽い処罰では済まされないだろう。

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情報筋によると、このような兵士による暴行事件がしばしば起きているが、被害者が死亡に至るケースは非常にまれだという。

兵士たちは世界最長の8年の兵役に就き、恋愛もできず、厳しい労働に追いやられているが、豊かな平壌で恋愛を満喫するカップルを見て、悔しさから突発的に犯行に及んだのではないかとの見方を示した。日本風に言い換えると「リア充」に対する恨みということだろう。

(参考記事:北朝鮮軍人と学生グループが大乱闘。しかし処罰されたのは…