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1953年に朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた7月27日を、北朝鮮では「戦勝節」として盛大に祝う。今年も、首都・平壌で戦争老兵(朝鮮戦争参戦者)大会に続き、祖国解放戦争勝利記念塔の前での記念行事が開かれ、金正恩総書記が演説を行った。同様の行事は、全国各地で開かれた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)の浦港(ポハン)広場でも27日午前、金日成主席、金正日総書記の銅像に花を手向け、朝鮮労働党中央委員会が全国の戦争老兵に送った祝賀文を朗読する行事が行われた。

ただ、一連の行事に対する市民の反応は非常に冷淡なものだった。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:北朝鮮、朝鮮戦争の休戦69周年で記念行事…金正恩氏が演説

現地の情報筋によると、戦勝節前日の26日には、清津市の社会主義愛国青年同盟主催の戦時歌謡合唱行進が行われた。1週間前から練習した「金正恩将軍を命がけで死守せん」「7.27行進曲」などを歌いながら市内を練り歩くというものだ。

また、朝鮮社会主義女性同盟の舞踏会や、道立劇場での祝賀公演が行われ、第3放送(有線ラジオ)では戦勝節関連の講演会の放送が行われた。それ以外にも、咸鏡北道革命史跡館を参観するなど、行事が目白押しだった。

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ただ、工場や企業所の従業員、青年同盟のメンバーの参加率は低く、最も重要な行事である銅像への献花セレモニーすら、参加率は従業員全体の7割で、参加者の表情も暗かったという。通常、この手の行事に欠席することは思想に問題があるとされ、批判や監視の対象となるため、参加率は100%近い。7割という低さは、極めて異例のことと言えよう。

(参考記事:「見返してやる」将軍様の銅像に放火した北朝鮮男性の最期

情報筋は、生活苦が深刻化する中で、政治行事への参加よりは、家族の暮らしを守る方が大切だという認識が広がっているとし、記念日のたびに開かれる政治行事が生活のために必要な商売の邪魔になると説明した。

「わが国(北朝鮮)でも田舎中の田舎」と自らの住む地域を表現した両江道(リャンガンド)大紅湍(テホンダン)の情報筋は、27日朝に、金日成氏、金正日氏のモザイク壁画に花を手向ける行事が開かれ、女性同盟のほとんどのメンバーが参加したが、他の行事は参加率が低かったと伝えた。

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情報筋が一例として挙げたのは、26日に行われた雄弁(弁論)大会。キャパシティ100人の会場なのに、半分以上が空席という有様だった。それに慌てた女性同盟の幹部は、会場周辺の家々を訪ね、大急ぎで人をかき集めて空席を埋め、予定時間より40分も遅れて開始にこぎつけた。情報筋は、このようなことは初めて見たと、驚きを隠せない様子だった。

参加率の低さの理由は、やはり生活苦だ。

「最近、いつもとは違う生活苦に苛まれている住民たちは、生計に何の助けにもならない政治行事が開かれても興味を持たない。当局は、住民から全く歓迎されない政治行事を減らし、やり方を変えることを考えるべきだ」(情報筋)

(参考記事:北朝鮮の思想教育、出席率悪すぎで関係者やきもき