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北朝鮮当局は、新型コロナウイルス感染症と疑わせる症状を見せて死亡した人を、遺族の意向を問わずに無条件で火葬する方針を取っている。

ただ、これは当局が把握した場合に限られるようだ。そこまで至らず、自宅で死亡した場合、遺体は従来のしきたりに従って、山に土葬される。当局は、このような土葬の規制に乗り出したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:「高熱の患者をそのまま火葬」感染爆発の北朝鮮で深まる闇

清津(チョンジン)市内で細菌、コロナや、腸チフスなどの水系感染症で亡くなる人が増えたと伝えた咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、市当局が、市内から見える山に埋葬することを厳しく規制していると伝えた。

遺体は、先祖代々の墓のある山に土葬するか、火葬せよというのが当局の指示だが、どちらも非常に負担になる。

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咸鏡北道には、清津に火葬場が1カ所しかなく、火葬するには、費用としてディーゼル油50リットルを出さなければならない。現在、1リットルは8600北朝鮮ウォン(約172円)なので、50リットルなら43万北朝鮮ウォン(約8600円)。トウモロコシ120キロ分に相当する金額だが、市場でまる1日商売しても儲けがトウモロコシ1〜2キロ分にしかならない現状で、この火葬費用はとてつもない高額だ。

また、遺体を先祖代々の山まで運ぼうにも、高額の運送費用がかかる。その費用が負担できない人は、夜中に山に遺体を運んで、密かに葬ってしまうとのことだ。

それを把握した当局は、山林監督員に、市内中心部から近い共同墓地の周辺の山のパトロールを強化させている。ただ、もし見つかってしまったとしても、5万〜10万北朝鮮ウォン(約1000円〜2000円)のワイロを掴ませて見逃してもらうとのことだ。

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情報筋は、火葬場を無料で利用できる幹部に、庶民の置かれた状況は全くわからないだろうとして、「苦労続きの一生を終えても、まともに葬るための一握りの土地ですら使わせてもらえない」と、庶民の怒りを伝えた。

清津から南西に300キロ離れた咸鏡南道(ハムギョンナムド)の北青(プクチョン)でも、事情は似通っているようだ。現地の情報筋は、コロナなどで死亡する人が増えているが、当局は、郡の中心部や幹線道路、鉄道から見える山に、遺体を埋葬することを厳しく統制していると伝えた。

ただし、100キロ離れた最大都市の咸興(ハムン)にしか火葬場がないため、当局は土葬そのものは禁止しておらず、近郊の共同墓地に埋葬できることになっている。しかし、伝統的な土饅頭を作ることは許されていない。遺族は、心理的抵抗があるものの、仕方なく遺体をそのまま土中に埋葬している。

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赤の他人の墓参りをしてしまう笑うに笑えない話もあるとされ、家族の墓であることがすぐにわかるように、セメントや石で作った墓石を建てることが流行している。

土饅頭の造成を規制しているのは、美観上の理由だろうというのが情報筋の説明だ。清津の郊外では、墓が増えすぎて、山の色が土色に変わるほどだと伝えられている。

(参考記事:「山全体の色が変わった」北朝鮮で墓が急増、コロナ死者を埋葬か