女性兵士50人が犠牲…北朝鮮軍幹部「鬼畜行為」で見せしめ

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北朝鮮において、性暴力は明確な犯罪だ。

刑法279条は、暴行、脅迫、助けを求められない状態にあることを利用して女性を強姦した者には10年以下の労働強化刑に、暴行などを加えた場合は10年以上の労働教化刑に処すと定めている。

ただ、実際に表沙汰になることは決して多くない。

女性たちは、まともな人権教育、自分の身を守るための教育を受けていないため、自分の受けたものが性暴力であると認識できない場合や、性暴力に遭っても、被害女性に落ち度があったのではないかと責める社会的雰囲気などの理由で、多くは闇に埋もれてしまっている。

(参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」暴露された金正恩時代の性暴力

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は、軍という特性上、閉鎖的空間にならざるを得ず、性暴力の温床となってきた。また、被害に遭っても言い出せない空気はここでも同じだ。

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「今まで、軍幹部に女性兵士がひどい目に遭うことが多かったが、むしろ女性兵士の方が後ろ指をさされていた」(デイリーNK軍内部情報筋)

この情報筋は、最近明らかになった軍官(将校)による、常習的な性暴力事件について伝えた。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

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黄海南道(ファンヘナムド)海州(ヘジュ)に本部を置く、朝鮮人民軍第4軍団傘下の師団で政治部長を務めていた40代のキム上佐(中佐と大佐の間の階級)。彼は、政治部長に任命された2018年から今に至るまで、女性兵士に対して様々な性暴力を繰り返してきた。犯行が4~5年にわたったことを考えれば、被害者は40~50人以上の規模になると思われる。

昨年初めからは、師団直属の中隊で勤務し、除隊(兵役満了)を控えた女性兵士に、いわゆる「除隊前悩み相談」を行ってきた。これは、自分の部屋に女性兵士を呼び、除隊後の生活について話し合うものだが、その場で「(朝鮮労働党への)入党をしてから家に帰りたくないか」との言葉をかけ、性上納を強いていた。

軍を除隊して得られるメリットは、朝鮮労働党への入党と大学進学だが、それには推薦状が必要となる。それと引き換えに性上納を迫る行為は、決して珍しくない。

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だが、ここで問題が発覚した。被害女性が妊娠したのだ。朝鮮人民軍では、一般兵士が服務期間中に恋愛、結婚することが禁じられており、発覚すれば鑑定除隊(不名誉除隊)を強いられる。当然、彼女も調査の対象となり、軍団指揮部に報告されたが、その過程でキム上佐の名前が浮上、緊急逮捕に至った。

その場の状況について情報筋は「以前ならば党的処罰や降格で済まされていただろうが、今回は多くの兵士の目前で、幹部(キム上佐)の手に手錠がはめられて連行され、皆を驚かせた」と証言した。

上述の通り、このような性暴力は常態化していたが、軍団当局が事態の深刻さを認識し、幹部に警鐘を鳴らす目的でキム上佐を見せしめとして処罰したというのが、情報筋の説明だ。

性暴力の被害に遭った女性兵士の処遇について、情報筋は言及していないが、軍に残ったとしても、除隊して故郷に帰ったとしても、後ろ指をさされることには変わらず、針のむしろだろう。

(参考記事:実は「性暴力の天国」だった金正恩の「革命の聖地」