今年9月、北朝鮮の朝鮮労働党の平安北道(ピョンアンブクト)道党、新義州(シニジュ)市党の主要幹部ら30人が粛清されたが、検閲(監査)と粛清の嵐は吹き続けている。

地元のデイリーNK内部情報筋によると、新たな検閲は平安北道の宣川(ソンチョン)郡で集中的に行われた。その結果、この地域で貝の販売を行なっている水産基地拠点長が、横領した60万ドルを中国の銀行に預けたことが明らかになった。

先月28日に、道内の幹部や貿易機関職員らを平安北道宣川会館に集合させ行われた検閲事業の結果報告会では、宣川郡の雲従里(ウンジョンリ)にある水産基地拠点長、副基地長(39歳女性)、貝取り船の船主、ヤンジョン事業所書記、雲従里管理委員長の5人が銃殺されたことが報告された。

銃殺は、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の射撃場で行われ、1人あたり60発の銃弾が撃ち込まれるという残忍なものだったが、粛清はそれだけに留まらなかった。

それ以外にも、彼らをかばった検察所長が自殺し、保衛部(秘密警察)の部長、宣川郡の軍核心幹部10人余りが解任された。さらには、朝鮮労働党平安北道道党の李萬建(リ・マンゴン)責任書記が解任された。

さらには、雲従里管理委員長の養女が父の疑惑を隠すために基地長を自宅で匿った罪で教化所(刑務所)に送られ、容疑者数人が逃走した。

道党のキム・ユンホ組織部長は、123道路の工事に協同農場の農場員を違法に動員した容疑で東林(トンリム)郡に追放されたが、道党責任書記が善処を請うたため、再検討対象となった。

新義州市党のキム・チョルホ組織部長(平安北道責任書記だった金平海<キム・ピョンへ>氏の息子)は東倉(トンチャン)郡に追放され、一般労働者に降格させられたた。市人民委員長(市長)は連帯責任を取らされ、博川(パクチョン)郡の人民委員会委員長にに降格させられた。園林事業所水産物直売店書記は、2千ドルを横領した疑いで追放され、宣川郡の史跡地造成作業労働者となった。

一方で、最高人民会議の代議員で、新義州の商業管理所のキム・ジェファ所長は、大豆70トンを横領したが中央党の圧力によって処罰は軽いものに留まった。市民は誰が幹部になっても同じ、信頼できる人なんていないと口々に語っているという。

咸鏡北道検閲団が宣川をひっかきまわしたことで、労働党平安北道道党にまで影響が及び、地域間の対立感情が深まったという。咸鏡北道検閲隊は、この地域に何の縁故もないため、後先考えず事件を大きくしてしまった。

宣川郡の関係者は、咸鏡北道で何かあれば乗り込んでやる、タダでは済まさないと怒り心頭だという。北朝鮮の最高指導者は、昔から平安道と咸鏡道の間に存在する感情的な対立を政治的に利用してきた。

一連の粛清を主導した金正恩氏と崔龍海(チェ・リョンヘ)氏は、咸鏡北道の人員を派遣し、地域対決を煽ることで自身に向かいかねない不満の矛先をそらそうとしたものと思われる。

金正日氏は1990年代後半、統制を強化するために深化組事件を起こし数千人を粛清させ、社会安全部(現:人民保安省)と国家保衛部を対立させたが、そのような意図はなかったとうそぶいていたという。

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