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北朝鮮は金正恩総書記の命令に基づき、1400キロにも及ぶ中国との国境沿いに、脱北や密輸を防止するためのフェンスの建設を進めてきた。コンクリートの柱の間に、高圧電流が流れるフェンスを張るというものだが、昨年3月の建設開始当初から資材不足に悩まされていた。

苦肉の策で、高圧電流の代わりに空き瓶や空き缶をぶら下げるなどの対応を取っていたが、それすらもできなくなったようだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:北朝鮮の「脱北防止」最新兵器は空き瓶と空き缶

両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)の情報筋は、昨年10月10日の朝鮮労働党創建記念日までに完成させる予定だったフェンスだが、資材不足により、建設が1年以上中断していると伝えた。

工事に必要な砂利と砂は、国境を流れる鴨緑江の河原で採取していたが、コロナ対策として国境への接近が禁止され、入手が困難となり、建設が中断したというわけだ。

別の情報筋によると、恵山周辺では昨年6月からコンクリート壁の工事が始まったが、どういうわけか今頃になって、工事が再開されている。元々、工事は朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の工兵局などが行っていたが、今では家頭女性(職場に配属されていない女性)を動員して行っている。

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こちらのコンクリート壁は、砂利で築いた基礎の上に、セメントでできたブロックを2メートルの高さに積み上げるというもの。

市民の間では「なぜ今なのか」という疑問と不満が高まっている。梅雨前線の北上に伴い、現地は先月末から大雨に見舞われた。政府は、農地の浸水を防ぐための対策を取るように呼びかけているが、その一方で、朝鮮労働党両江道委員会は、水害対策そっちのけで、コンクリート壁の工事に人々を動員しているのだ。

(参考記事:北朝鮮の大雨で被害続出、市民に総動員令

市内の淵豊洞(ヨンプンドン)では、連日の大雨で、山崩れが起き、道路が寸断されるなどの被害が起きているが、そちらは放ったらかしにしたままで、コンクリート壁の工事を行わせている。

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市民からは「こんな大雨の中で工事を強行しても、まともなものが立てられるのか」と、地元当局のやり方を非難する声が上がっている。

なお、地元当局がなぜコンクリート壁の工事を強行しているのか、その理由についてどちらの情報筋も触れていない。