北朝鮮で「吊し上げの刑」…ある女性教師が”破廉恥な行為”に走ったどうしようもない理由

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北朝鮮で先月、生徒に対して露骨にワイロの要求を行った高校教師が摘発されたと、咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

摘発されたのは、エリート校である咸興(ハムン)市第1高級中学校に務める40代教師のリ氏。北朝鮮では毎年3月8日の国際婦女節(国際女性デー)に、女性に花束や贈り物をする習慣がある。また、学校では小学校や初・高級中学校で児童、生徒がいくばくかのお金を集めて、教師に花束や服、靴などを贈る。

だがリ教員の場合、自らが生徒や保護者にワイロを要求したのだった。

リ教員は学級長たちを呼びつけて、こんな話をした。

「まもなく3.8節(国際女性デー)だが、先生に何をくれるのか」
「他のクラスでは1万北朝鮮ウォン(約180円)ずつ集めているそうだが、うちのクラスが負けたらどうする」

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そして、生徒1人あたり5000北朝鮮ウォン(約90円)を支払うよう要求した。また、暮らし向きのよい家の生徒6人には、コメ5キロを自宅に届けさせた。金額に直すと15万北朝鮮ウォン(約2700円)になる。北朝鮮労働者の平均給与の約4年分の給料だが、4人家族の一般的な生活費半月分にも満たない。

背景には、国家が教師や公務員に対し、ワイロでも受け取らなければ暮らしていけないほどの薄給しか渡していない実態がある。それを知る保護者らが、仕方なく要求に応じているケースも少なくない。

ところが今回の件では、保護者たちは黙っていなかった。「3.8節を名分にして、生徒たちに税金外の負担をさせた」と咸鏡南道教育部に訴えたのだ。なぜか。金正恩総書記が昨年1月の朝鮮労働党第8回大会で、税金外の負担は犯罪行為であると規定したためだ。

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北朝鮮では、最高指導者の命令に背いたり、権威を傷つけたりする行為は最大の罪になる。場合によっては極刑が下されることすらある。

(参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

道の教育部はリ氏と校長を呼びつけて調査に乗り出し、リ氏の「破廉恥な行為」に対して思想闘争会議を行うことを指示し、12日に実行された。自己批判をした上で、入れ代わり立ち代わり様々な人から批判を受ける「吊し上げ刑」である。

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ただ情報筋は、「暮らし向きがどれほど苦しかったら生徒に食糧や贈り物を要求しただろう」「今のように苦しい時期に保護者が支えなければ、教師は学校にも来れない」とリ氏に同情的で、「教師に配給を与えない当局に問題がある」「税金外の負担をさせたと教師を追及する前に、生活の問題から解決してやるべき」と指摘した。