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北朝鮮北部の商業都市、両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)。合法、非合法の貿易で街は賑わい、市内中心部や北部の渭淵洞(ウィヨンドン)周辺には、貿易マネーで建てられた高級マンションが軒を連ねている。

そんな恵山で最近、異変が起きている。マンション価格が急落しているのだ。

(参考記事:北朝鮮、恵山市でマンション建設ブーム…土地確保のため「地上げ」も

現地のデイリーNK内部情報筋は、実際に不動産取引を行った市民の例を挙げて説明した。

60代のチェさんは、13万元(約256万円)で買ったマンションを8万元(約158万円)で売り払い、農村に引っ越した。また、50代のキムさんは12万元(約236万円)で購入し20年以上暮らしてきたマンションを6万元(約118万円)で売却し、2万元(約39万円)のハモニカ住宅(長屋)に引っ越した。

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いずれも、コロナ対策としての国境封鎖による経済難に耐えかねた末のことだ。

「数年前まで恵山はカネが多く、富裕な都市として知られ、実際にそうだった。しかし、コロナウイルス事態後、国境が前面封鎖されて市場の利用時間も制限されて、国境沿いの住民は特に苦しくなった」(情報筋)

(参考記事:穀物販売権の独占を目指すも後退を強いられた北朝鮮

現在、恵山のマンション価格は25坪基準で10万元から15万元(約197万円から295万円)。実際の取引価格はこれよりずっと低い。いずれにせよ、それほどの物件を買うほど経済力のあった富裕層ですら、現状に耐えきれなくなって、損を承知でマンションを売り払うほど追い詰められているのだ。

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マンション建設予定地に住んでいる住民の中には、あと数ヶ月待てば補償金が得られるのに、それまで持ちこたえきれず、物件を売りに出している人がいる。食糧が底をつく春は、商売も上がったりで、なんとかして現金を得て苦境を生き抜こうとしているのだ。

儲けるチャンスの少ない北朝鮮では、確実に儲かるビジネスとして資金が不動産に大量流入し、一時はバブルの様相を呈していた。しかし、需要より供給が多くなり、価格が急落。そこに今回のコロナ鎖国で、売りに出される物件が急増し、さらに価格が下がっている。

(参考記事:金正恩氏の「都市再開発メガプロジェクト」発表で不動産価格が急騰