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北朝鮮の最北部の(ハムギョンブクト)両江道(リャンガンド)では10月末からキムチ作り=『キムジャン』(注)をはじめる。この地域は南側の黄海道(ファンヘド)や平安道(ピョンアンド)よりも寒さが早く到来するので1ヶ月ほど早く『キムジャン』を始めなければならない。

しかし、主婦たちは貨幣改革(デノミネーション)の影響でキムチを作る材料費さえも準備できずに頭を悩ましている。貨幣改革によって、それ以前に貯めていた現金は紙切れになり、物価は貨幣改革以前の水準に上がった。その結果、多くの住民がその日暮らしが精一杯だ。

すでに『キムジャン』をあきらめた住民も多いという。少し余裕のある家の主婦は市場で商売をするが、そういった家の主婦も白菜、大根、ニンニクと唐辛子、塩などの価格変化にナーバスになっている。

今年は、夏の集中豪雨の影響で農業事情もあまりよくないことから野菜価格の上昇が予想されている。こういった背景から『キムジャン』も早めに始まっているようだ。

両江道(リャンガンド)の消息筋は7日、「『キムジャン』のために市場に行ったが、昨年より早めに始めようとする住民が多い。材料の値段が上がる前に唐辛子、ニンニク、塩などをあらかじめ買うために市場は混み合っている」と伝えてきたが、値段が上がったことから手ぶらで帰る人も多いとのことだ。

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集中豪雨の影響で、全ての材料費は上がっている。唐辛子やニンニクなどは例年に比べてkg当り2000ウォンほどの上昇で、白菜と大根は50〜100ウォンほど上がった。恵山(ヘサン)市場での材料費は以下の通りだ。

■ニンニク1キロ 1万5000ウォン
■唐辛子1キロ 1万3000ウォン
■白菜1キロ 250〜400ウォン
■大根1キロ 150〜250ウォン
■塩1キロ 500ウォン
■調味料一袋 4300ウォン
■イワシの塩辛1キロ 5000ウォン

4人家族を基準で冬を乗り越えるキムチを作るには白菜が250キロ、大根150キロ、塩30キロ、唐辛子3キロ、ニンニク2キロ、調味料一袋(450g)、イワシの塩辛3キロぐらいが必要で、最低でも18万ウォン以上が必要となる。

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企業所の労働者月給平均が約4000ウォンとすると、4年かけて貯めなければならない金額だ。商売をしない家庭では『キムジャン』を諦めざるをえない。商売をして少し余裕のある家でも唐辛子や調味料を入れずに白菜キムチを作り、余裕のある家では唐辛子は多く使う。

また「質」より「量」が優先され、一部の家庭では薬味の量を調節した「名節用」と「客のもてなし用」を別々に用意する。

農村の住民は、農作業などで野菜などを調達しやすいので幾分ましだが、農作物は生活必需品を買うための貴重な資源であり、越冬準備が大変なのは変わりがない。

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北朝鮮では『キムジャン』の日には、『パンニョンヤンシク(北朝鮮でキムチを表す言葉)』を作ると町中が名節気分で互いに自分たちが作ったキムチを味わったりする風習があったが、慢性的な経済から今は昔の話となってしまった。

『キムジャン』さえも困難になった昨今の現状について住民たちは以下のように不満を述べている。

「貨幣改革の贈り物で(貨幣改革のせいで)キムチも食べられない」

(注)キムジャン
野菜が不足する真冬を直前に、大量のキムチを漬ける朝鮮半島の風習。寒さが厳しい冬に備えて春までキムチをまとめて漬ける『キムジャン』は韓国の冬の風物詩になっている。