北朝鮮が先月30日、大々的な赦免(恩赦)を行った。これに合わせて社会安全省(警察庁)は、各地域の安全局(警察本部)に対して「退所者談話」(出所者との面会)を行うよう指示を下した。
コロナ鎖国による生活苦が加重し、国民の不満がくすぶる中、出所者がよからぬ雰囲気を社会にもたらし、思想的な緩みが生じないようにする意図があるものと思われる。
(参考記事:北朝鮮の大規模な恩赦、デイリーNKは昨年末に報道)江原道(カンウォンド)のデイリーNK内部情報筋は今月3日、社会安全省は各区域の安全部(警察署)に対して、このような指示を下したと伝えた。出所者が生活を落ち着かせ、更生の道を歩むことに責任を持ち、赦免を行う朝鮮労働党と国の寛大な政策を知らしめるためだとしているが、それはあくまで表向きの理由だ。
(参考記事:山に消えた女囚…北朝鮮「陸の孤島」で起きた鬼畜行為)
「教化所(刑務所)にいたころに、他の受刑者から打ち明けられた余罪の話を引き出さなければならない」(情報筋)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面安全部は出所者に対して、今回の赦免から除外された受刑者の名前を挙げ、面談で、なぜ彼らが釈放されなかったかと質問したという。
より具体的には、党や国に恨みを抱いていたり、資本主義に対する幻想を持っていたりする者はいないかを尋ねるということだ。これは、他の受刑者の思想動向に関して密告させることで、反目し合うように持ち込む北朝鮮式のやり方だ。
また、釈放されなかった受刑者のみならず、釈放された者の間で特異動向はないか、あればすべてを話せと強いている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面赦免の対象にするにあたっては、改悛の情があるか、思想に問題がないかを二重、三重に審査しているが、それをすり抜けた者はいないかをチェックするということだ。
面談の結果は資料にまとめられ、社会安全省に集約され、各教化所の保安課に参考資料として送る予定だ。問題のある者の監視をより綿密に行うためだろう。
(参考記事:北朝鮮、恩赦対象者に炭鉱、農村行きを「嘆願」させる)