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一昨年11月に北朝鮮を脱出、韓国に入国した男性が、再び北朝鮮に戻った事件をめぐり、韓国軍当局が謝罪に追い込まれる騒動となっている。一方の北朝鮮は、一切の反応を示していない。

韓国メディアによると、この男性は30代のキム氏。元日の午後6時過ぎに、江原道(カンウォンド)の軍事境界線に張られたフェンスを越えて、北朝鮮に戻った。この人物は、一昨年11月に脱北して韓国に入り、韓国生活に関する教育を受けた後、昨年7月に社会に出て、ソウル市内で暮らし清掃業に携わっていた。

キム氏がフェンスを越えて北朝鮮に戻る様子が韓国軍の監視カメラに捉えられていたのに、警備に当たっていた担当者が北から南にやってきた脱北者と間違え、出動が遅れるなど、警備体制に穴が空いていたとの批判が上がった。これに対して、韓国軍の元仁哲(ウォン・インチョル)合同参謀本部議長は国会の国防委員会で「国民にご心配をかけた」と謝罪に追い込まれる事態となった。

韓国での生活に希望を見いだせない、北朝鮮に残してきた家族を連れ出したい、などの理由で北朝鮮に戻る脱北者は、過去10年間で少なくとも30人に達すると言われている。今回、北朝鮮に戻ったキム氏はいかなる人物だったのだろうか。韓国の朝鮮日報がその人物像を詳しく伝えている。

黄海北道(ファンヘブクト)沙里院(サリウォン)出身のキム氏は、北朝鮮で器械体操やボクシングをしていた経験を持つ。継父との大喧嘩をきっかけに、脱北して韓国にやってきた彼だが、周りの人の評判は「ちょっと変な人」というものだった。韓国メディアの金正恩総書記を批判する報道を見て腹を立てたり、ボクシングで頭に大怪我をしたという話をして、自分が精神的に問題を抱えているというアピールをしたりしていたとのことだ。

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また、他の脱北者とは異なり、脱北者団体との関わりを持たず、「韓国は人間が暮らすところではない」「北朝鮮はまだ人間らしく暮らせるようにしてくれる」などと発言したり、国会前で北朝鮮への送還を求めるスタンディングを行ったりしていた。

さて、北朝鮮側の反応だが、今の時点では出ていない。一昨年7月には、北朝鮮に戻った脱北男性がコロナに感染していると発表し、開城(ケソン)をロックダウンし、韓国を猛烈に非難するなど大騒ぎしたが、それと比べると非常に対照的だ。

(参考記事:コロナ封鎖の北朝鮮・開城で食糧配給…当局、市民の不満に緊張