金正恩の「健康不安」再燃でわかった”致命的な急所”

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北朝鮮では17日、金正日総書記が死去してから10年となったのに際し、金日成主席と金正日氏の遺体が安置されている錦繍山(クムスサン)太陽宮殿広場で「逝去10周忌中央追悼大会」が行われた。

ここに参加した、まだ30代の金正恩総書記の顔が、50代かと見まがうほどに老け込んで見えたことで、韓国メディアを中心に「健康不安」説が持ち上がっている。それを受け、日本の一部では「影武者」説が再燃しそうな雰囲気だ。

だが、現地の当日の気温は零下5~6度、体感温度は零下20度と伝えられている。本当に健康状態が悪ければ、そもそも行事への参加を取りやめたり、金正恩氏の居場所を屋内に変更したりしそうなものだ。実際、金正恩氏は何らかのスケジュールと重なったのか、重要な記念日に同宮殿を訪れなかったこともあった。

とはいえ、独裁者である金正恩氏の健康状態に、周辺各国や国際世論は関心を持たないわけにはいかない。金正恩氏の身に何かあったらどうなるのか、ということは、北朝鮮にとってのみ重要な問題というわけではないのだ。

今のところ、妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長がナンバー2としての地位を固めつつある。昨年の脱北者ビラ問題から対外強硬派としてのイメージを強めてきたのは、金正恩氏の身に異変が起きた際に、外部からの介入をけん制するための備えとも取れる。

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しかし金正日氏が死亡してからこの10年、北朝鮮はすべての権威を金正恩氏に集める形で後継体制を固めてきた。世界の関心は北朝鮮の意図したとおり、金正恩氏に集中している。

だからこそ、金正恩氏の健康に世界の関心は集中する。上の写真は今年8月、金正恩氏が軍指揮官の講習会に参加したときのものだが、後頭部に絆創膏を付けて現れただけでニュースになった。

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いずれにせよ、異変は金正恩氏にも金与正氏の身にも起こり得る。では、彼らの後継者はいつまでに、どのように決められるのか。金正恩氏にすらそれがわかっていないという事実こそが、北朝鮮にとって最大の、そして致命的な急所なのだ。

金正恩氏の祖父である金日成主席は60歳のとき、長男の金正日氏を後継者と決めた。それから1994年に死亡するまで、北朝鮮は金日成・金正日の二頭体制により統治された。その期間の前半は東西冷戦の真っただ中であり、北朝鮮はソ連・東欧の社会主義圏により保護されてもいた。

冷戦の終結後、金正日氏の一頭体制となった北朝鮮は一気に不安定な状況に置かれたが、金正日氏には20年以上にわたり国を指導した経験があった。そして10年前に死亡した時点で、後継者となる三男の金正恩氏は成人していた。

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金正恩氏の次は誰が金王朝を担うのか。子供はいるようだが、年齢はごく幼い。金正恩氏が祖父や父親並みの寿命をまっとうすれば、あと40年は体制を率いることもできるだろう。しかし、本当にそうなるかは誰にもわからないことだ。

ハッキリしているのは、独裁体制は独裁者なしに存続することはできないということだ。