「性売買の温床」で被害多数…北朝鮮の治安が悪化

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コロナ鎖国による経済難に追い込まれている北朝鮮で、犯罪が多発している。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えたのは、駅前の「待機宿泊」を舞台にした睡眠薬強盗だ。待機宿泊とは、運行状況の不安定な列車の利用客が、列車が到着するまでに滞在する駅前旅館的な存在で、一般人が気軽に利用できる数少ない宿泊施設だ。

待機宿泊を巡っては、宿泊者の将校が、売春女性から重要書類を盗まれた事件に関する情報が伝えられたばかりだ。ちなみに待機宿泊を営むことそのものが違法行為に当たり、売買春の温床となっており、しばしば取り締まりの対象となっている。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

事件が起きたのは道内の价川(ケチョン)駅周辺の待機宿泊でのこと。30代男性3人が、「出張途中だが、列車の運行予定が未定だ、一晩泊めて欲しい」とやってきた。

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その日の夜。外出先から帰ってきた宿の主人夫婦の息子が、2人が倒れているのを発見した。家の中の家財道具もすべてなくなっていたことから、すぐに安全部(警察署)に通報した。

意識を取り戻した主人夫婦の証言によると、男性3人は靴の商売をしている義兄弟の間柄と名乗っていたが、食事の用意をして共に夕食を取っていたとき、スープを飲んでしばらくして気を失ったという。おそらくスープに睡眠薬を仕込んだのだろう。

安全部は、靴の商売をしている義兄弟3人を容疑者として逮捕したが、事件とは無関係であることが判明した。窃盗や強盗が多発していることから、当局は真犯人逮捕に意欲を見せているものの、殺人事件ではないため指名手配令を下せず、頭を抱えているとのことだ。

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一方で、コロナで国内移動が制限されていることから、他地域ではなく地元の人間の犯行である可能性が高いと見て、价川市内での捜査を行っている。人民班長(町内会長)を通じて、容疑者の容貌と盗み出された品物を知らせ、見つけ次第すぐに通報するよう指示した。

それでも犯人検挙に至らず、業を煮やした安全部は、主人夫婦に八つ当たりでもするかのように、「身元や公民証(IDカード)を確認せずに違法に他人を家に入れたのは、非社会主義的行為(風紀を乱す行為)」だと、責め始めたとのことだ。

とりわけ、朝鮮労働党の党員である主人が、党員証を盗まれたことを問題視しており、出党(党からの除名)などの処分が下される可能性があると、情報筋は伝えた。

(参考記事:北朝鮮の21歳美女が告白した「駅前ハニートラップ」の手口