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金正恩総書記が提唱した、北朝鮮北部の三池淵(サムジヨン)の再開発の工事のうち、最終段階にあたる3段階の現場では、仕上げ作業が行われている。北朝鮮の国営メディアはその様子を連日報じている。

建設工事は、三池淵、首都・平壌のみならず全国で大々的に繰り広げられている。一例を上げると、朝鮮中央通信は先月21日、黄海北道(ファンヘブクト)の景勝地、正方山(チョンバンサン)の麓に近代的なホテルが竣工したと報じている。

それ以外にも、平安北道少年団キャンプ場、平安北道品質分析所、白頭山湧き水工場など、コロナ鎖国で多くの国民が生活苦に追い込まれていることなどどこ吹く風、建設ラッシュさながらの様相を呈している。

(参考記事:金正恩の「豪華住宅」建設指示に、庶民は「まず腹いっぱい食わせろ」

同様に、中国との国境に接する地域でも住宅建設を進めていたが、途中で放置されている状態だという。デイリーNK内部情報筋が伝えた。

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今年2月、中国との国境に接する恵山(ヘサン)市、金正淑(キムジョンスク)郡、普天(ポチョン)郡、大紅湍(テホンダン)郡などに5階建てから7階建ての低層マンションを年内に完成させよとの指示が中央から下された。敷地が選定され、設計が終わり、基礎工事に着手するまでに至った。

ところが翌月、中央から別の指示が下された。

「両江道の労働力、資材、運送手段をはじめとするすべての力量を三池淵市住宅建設に総動員せよ」

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これにより、他の地域のマンション建設がすべてストップしてしまった。道内の金正淑郡新上里(シンサンリ)では、3月初めごろまで5〜7階建てのマンション建設が問題なく進められていた。8つの工場と企業所から10人ずつ人員を出し合って、基礎工事に着手した。しかし、同月20日にすべての人員が三池淵に送られてしまい、それ以降工事は完全に中断に追い込まれた。

情報筋は、三池淵には数年に渡って全国から資源と労働力が動員されているが、依然として完工に至っておらず、国の主力工事とはいえ、国全体の経済が苦しい中で、国境地域の住宅建設にまで手が回らないのだろうと、背景を説明した。

そんな状況に、三池淵以外の両江道住民は疎外感を覚えている。

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「他の地域の住民の不満を抑える意図で住宅建設の指示を下したようだが、現在までの状況を見ると、結局は失敗した形だ」(情報筋)

北朝鮮ではハコモノが成果としてみなされる傾向が強く、ともかく建設に力を入れるのだが、経済難の中で無理やり建設を進めようとして、そのしわ寄せがより力の弱く、冷遇されている地方に向かう。地域住民は、改めて自分たちの置かれた立場を見せつけられることとなってしまった。

(参考記事:「とても住めたもんじゃない」北朝鮮国民が”金正恩住宅”を酷評