例えばコメ500キロを取り戻すためには、86キロ分にあたる中国人民元1000元(約1万6900円)のワイロを支払わなければならない。当局は、国内での外貨使用を禁じる命令を下したが、ワイロは外貨で受け取るのだという。国内で流通する外貨を国家に吸収することに躍起になっていることを考えると、理にかなっているとも言えなくはない。

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最近に入って、品物を大量に扱う「ムルチュ」と呼ばれる商人は、安全員にこんな話を持ちかけるという。

「大量の品物を目的地まで安全に運べるようにしてほしい」

その手間賃は100元(約1690円)から200元(約3380円)。かつてなら、安全員は相手にしなかったほどの少額だが、コロナ鎖国で生活が苦しいのは彼らとて同じ。今では積極的に受け取り、表向きは取り締まるふりをして、運搬に協力しているのだ。かつては司法機関に対しては手厚く行われていた配給が、最近になって欠配、遅配が相次いでいることが背景にある。

(参考記事:金正恩「拷問部隊」も動揺…北朝鮮 “飢餓の行軍” の末期症状

かくして「イナゴ商人掃討作戦」は、安全員の小遣い稼ぎに化けてしまった。もちろん、100元はおろか、1日3000北朝鮮ウォン(約69円)の市場管理費すら払えないほど困窮している零細なイナゴ商人が、依然として安全員に虐げられていることは言うまでもない。