北朝鮮「陸の孤島」に送られた美人女子大生たちの絶望

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かつての中国では、学校卒業後の就職先は、国から割り当てられるものだった。これを「統包統配」と呼んでいたが、各国有企業は終身雇用の余剰人員を大量に抱え込むこととなり、また、働き口のない若年層失業者が解消することはなかった。

改革開放経済の導入に伴い、1980年代から10年以上かけて、徐々にこのような制度を廃止、企業と個人が契約を結ぶ形となった。

このような制度が依然として続けられているのが北朝鮮だ。中国は全員雇用が達成できなかった一方で、北朝鮮では原則としてすべての人が就職できる。しかし、本人の意思とは関係なく、当局が人手が足りないと判断した場所に送り込まれるため、常に不満が渦巻いている。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)師範大学の史跡科を卒業した女性5人とその家族も、配属先に大いに不満を抱いている。現地のデイリーNK内部情報筋によると、彼女らの配属先は、隣接する両江道(リャンガンド)の白頭山(ペクトゥサン)地区だったからだ。

史跡科とは、金日成主席の抗日パルチザン活動と関連した歴史やその史跡に関して学ぶ学科で、卒業後は、各地の革命史跡地に講師(ガイド)として配属される。朝鮮労働党咸鏡北道委員会は、彼女ら5人を、職場をあてがえない状態の未配置にしておいて、急に「党の方針」だとして、白頭山行きを命じた。

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革命の聖地である白頭山への配属なら申し分ないように思えるが、彼女らとその家族が強い不満をいだいているのはそれなりに理由がある。

いずれも美貌で評判だったという彼女らは元々、「5課対象」だった。中央党(朝鮮労働党中央委員会)5課は、いわゆる「喜び組」など金正恩総書記の身辺の世話をする要員の選抜・管理を行っている。

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しかし、彼女らは一度は選ばれたものの、何らかの理由で不合格となった。その代わりにあてがわれたのは、清津から遠く離れた極寒の地の白頭山。他の地域との行き来も不自由で、「陸の孤島」とも言える。

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「美人卒業生たちとのその家族は、こんなやり方があって良いのかと、談話(面談)を一回も行わず、党の権限で勝手に配属されたとして大騒ぎしている」(情報筋)

党委員会が何らかの不正行為を行ったわけではなく、遠くて寒い革命の聖地に娘を送り出したくないと、親たちが騒いでいるわけだが、行き先が行き先だけあり、配属を拒否するとなれば、反動分子にされかねず、親たちは「美しさは罪」だと嘆いているとのことだ。

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しかし、党委員会の幹部部(幹部の人事を司る部署)は、白頭山地区の革命戦績地や革命史跡地は、主要な現地指導を受けいれる1号モシム単位(金正恩氏が視察に訪れる場所)だ、人物、体格、土台(身分)、学業の成績を見て推薦したと、彼女らの怒りを収めようとしている。

「1号モシム単位で、より近いところから元帥様(金正恩氏)にお会いでき、(労働党への)入党も早くなり、記念写真も多く撮ってうまくやれば、いい人に嫁入りできる」(党委員会)

この「記念写真」だが、保安上の理由で、金正恩氏は誰とでも記念写真を撮るわけではない。思想、身分に問題のない「選ばれし者」だけに与えられた特権で、記念写真はその証拠となるのだ。地域社会で優遇され、幹部登用への道も開ける。

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