「世間知らずにもほどがある」金与正氏に北朝鮮国内で批判

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10日から開始された米韓合同軍事演習に、北朝鮮が強く反発している。

朝鮮労働党中央委員会の金英哲(キム・ヨンチョル)部長は11日に出した談話で、「(韓国政府は)同族との和合ではなく外部勢力との同盟を、緊張緩和ではなく緊張激化を、関係改善ではなく対決という道を選択した」と指摘。

続けて、「われわれはすでに宣明した通りに、彼ら自らがどんなに危険な選択をしたのか、間違った選択によって自らがどんなにおびただしい安保危機に迫っているのかを時々刻々感じられるようにするであろう」と述べた。

「安保危機を感じさせる」というのはつまり、軍事対応による報復を示唆した言葉だ。

だが、米韓非難の主人公はやはり、金正恩総書記の妹である金与正(キム・ヨジョン)党副部長だ。韓国と北朝鮮は昨年から遮断されていた通信連絡線を再稼働させるなど、一部で対話の動きも見られたが、その間にも金与正氏は、昨年夏の脱北団体ビラ問題で見せた対南強硬派の立場を維持していた。

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ところが、そんな金与正氏に対し、北朝鮮国民の間では反感が募っているようだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、金与正氏が出した米韓合同軍事演習に対する非難談話に賛同する人はほとんどいないという。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のある幹部はRFAに対し、住民らの反応について次のように語っている。

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「金与正は(米韓の)どんな軍事行動にも迅速に対応しうる国家防衛力と先制攻撃能力をいっそう強化していくと宣言したが、これについて住民らは皆、『朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の現実を知らないか、やたらと大口を叩く世間知らずの戯言に過ぎない』と言っている。また『6月末から夏季訓練に入った兵士たちは食糧がなく、トウモロコシ飯をやっと与えている状態だ。燃料が足らず訓練らしい訓練も出来ずにいるのに、どうやって米国と南朝鮮の相手をするのか』と言って、本当に情けないという反応を見せている」

北朝鮮は経済制裁とコロナ禍、自然災害の三重苦で確実に弱っており、米韓に対抗して思い切った軍事行動を取るのは難しい。ただ、コロナ対策で国境封鎖を続けているせいで、外部から苦しさの度合いを推し量るのは難しい面もある。

そんな中、国内の現状を最もよく知る北朝鮮の庶民たちは今、金正恩体制に対する最も辛辣な批判者になっているのかもしれない。