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北朝鮮が偽造していると言われる100ドル偽造紙幣、その名も「スーパーノート」。それはいかなるもので、いかにしてそう呼ばれるようになったか、デイリーNK取材班のクァク・テジュン記者が、情報をまとめた。

1.「スーパーノート」とは?

貨幣を偽造しようとする者が硬貨を偽造することはない。鋳造に手間とコストがかかるばかりで儲からないからだ。偽造貨幣は自然と紙幣になる。印刷技術の発達と偽札製造は、非常に容易になった。

本物の紙幣よりも本物のような偽造貨幣が登場するに至った。あまりにも精巧で、並べて見ても区別がつかず、偽札鑑別機も「本物」と判定してしまう。このような偽造紙幣を、「スーパーノート」、英語では「スーパードル」「スーパービル」とも呼ぶ。

2.スーパーノートにされるのはどこの国の通貨?

世界で最も偽造の対象とされているのは、米ドルだ。世界で最も広く使われており、どこの国でも使用可能だ。偽札鑑別能力の低い国や、一般の店、紛争地域、犯罪多発国に流すと、本物としてのロンダリングも可能だ。

また、米ドルには100ドル紙幣があることも、偽造紙幣の多いもう一つの理由だ。単純に儲けやすいということだ。このことから、米国では100ドル以上の紙幣の発行停止を主張する者もいる。

3. 20ドル、50ドルのスーパーノートも存在する?

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20ドル、50ドル、さらには1ドルの偽造紙幣も存在するが、スーパーノートと言えば100ドルの超精密偽造紙幣を指す。

4.スーパーノートの基準は?

明確な基準はないが、年を追うにつれ、そのレベルがますます巧妙となっている。1994年のスーパーノートより、2003年のスーパーノートの方が、技術的にアップグレードされている。北朝鮮から流出した書記のスーパーノートは、シリアル番号がKから始まることから「スーパーK」とも呼ばれた。

スーパーノートが初めて発見されたのは、1990年代初頭である。それ以前の100ドル偽造紙幣は、印刷が粗くて鑑別機で容易に弾くことができたが、上述の通り、スーパーノートは鑑別機では見抜けないことが多い。それだけではない。

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偽造を防ぐために、紙幣には様々な仕掛けがなされている。その代表例が透かしだが、これはコピー機を使った質の低い偽造では再現できない。一般的な偽造紙幣では、透かしが再現されているが、それだけではスーパーノートとは言えない。

また、最近の紙幣には点字やくぼみがあることがあるが、一般的な偽札犯にとっても、この程度なら朝飯前。

「真のスーパーノート」は、一般的な印刷機で印刷した場合には、滲んで解読不可能となってしまう、紙幣に隠された微細な文字や、見る角度によって色が変わる技術、それらを再現する特殊で高価なインクまで使ったものだ。そればかりか、最近発見されたものは、紙幣の番号が1枚1枚異なる。

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つまり、かつてのような「紙幣番号◯◯◯は偽札なので、見つけたら通報にご協力を」という形の発見、取り締まりがこんなんになった。

紙幣番号が1枚1枚異なるのは、偽造紙幣をする銅版やそれを支えるだけの大規模な設備を持ちえる財力などに裏付けされている。個人や小規模グループが、町工場の一角で印刷するレベルできるレベルでは、到底ないのだ。

5.スーパーノートは北朝鮮製?

これほどの精密な偽造紙幣を製造できる集団は非常に限られている。もちろん、他の集団が製造する可能性も全くは排除できないが、今の時点で、北朝鮮制のスーパーノートが、世界唯一のものとして疑われている。

つまり、「北朝鮮製超精密100ドル偽造紙幣」と「スーパーノート」は同義と言っても間違ってはいない。

6.その証拠は?

状況証拠と物的証拠からそう判断されている。

今まで、スーパーノートが多数に摘発された所には必ず北朝鮮人がいた。それも、北朝鮮の外交官旅券を所持した者だ。これだけでも、状況証拠として充分だ。

米国は最近、北朝鮮が時間変化インクと凹版印刷機、特殊紙などを購入した履歴を証拠として持っていると言われている。それらの公開は、正式な司法手続きが始まってからになるだろうが、それらが本物だとすれば、状況証拠はさらに揃う。

もちろん、北朝鮮が国内の工場でスーパーノートを製造する過程を見た者は、実際に関わったであろう者を除いては、誰もいない。だからといって、証拠がないとは言えないだろう。

7.北朝鮮は偽造紙幣の製造を強く否定しているが

状況証拠は充分に揃っているが、それでも北朝鮮はスーパーノートの製造を強く否定している。一方で、米国は、周辺国に北朝鮮のスーパーノート関連の証拠を示して説得、北朝鮮をプレッシャーをかける一方、「われわれは北朝鮮を罰しようとしているのではない、違法行為をやめさせようとしているだけだ」「今までは見逃してきたが、今後層はさせない」という強いメッセージを投げかけるだろう。

金正日総書記は、今重大な岐路に立たされている。

◯発覚した証拠について明確に説明する
◯一部冒険主義者の仕業だったと誤魔化しつつ、今後はしないと明言する
◯黙って製造を中止する
◯気にせずに製造を続ける

金正日氏が正常な判断能力を備えているのなら、「黙って製造を中止する」を選び、この嵐が過ぎ去るのを待つことを選ぶだろう。米国は近いうちに、新たなデザインの100ドル紙幣を発行するが、このスーパーノートが出回るか否かで、北朝鮮の下した判断がいかなるものかわかるだろう。

(参考記事:スーパーノート製造と偽タバコ取引を続ける北朝鮮