北朝鮮が外貨稼ぎを目的に行っているロシアの伐木事業が利益を出せずにおり、各地域の事業所を大幅に縮小し、建設事業を拡大しているという主張が提起された。
ロシア極東林業代表部に30年間ほど在籍し2008年に韓国に入国したキム・グァンチョル(仮名)さんは5日、デイリーNKとのインタビューで「北朝鮮のロシアの伐木事業は、金日成、金正日の誕生日に北朝鮮に木材を送る水準であり、外貨を稼ぐ事が出来ずにいる。ただ、ロシアとの関係を維持するために、林業代封狽?^営している」と明らかにした。
北朝鮮とロシアが現在まで維持している「協定」は、木材の伐採協定である。 1967年に締結された木材伐採協定によって開始された伐木事業は、1990年代初頭には2万人を超える北朝鮮労働者が派遣されるなど、主要な外貨稼ぎの窓口の役割を果たしてきた。
この協定により、ロシアは伐採林地や設備、電気などを提供し、北朝鮮は労働力を提供、木材は両国がシェアしている。
キムさんは「現在、北朝鮮伐木労働者が伐木すると、ロシアが72%、北朝鮮は28%の取り分があるのだが、これを中国の貿易業者に売った利益のほとんどが伐木労働者の賃金、諸経費、林業代封能の運営費に充てられる。ロシアが市場経済を導入し持続的に物価が上昇しており、北朝鮮に送金する分まで稼ぐことが出来ずにいる」と話した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「最近では、中国がロシアに金銭を提供し伐木事業を行っており、北朝鮮人労働者は故郷に帰るしかなくなっている。また、賃金未払いに不満を持った一部の伐木労働者が集団で抗議を行い、彼らを強制帰国させたため、ますます規模は小さくなっている」と付け加えた。
また「以前は、ティンダ地域やハバロフスク地域にも貿易代封狽ェあったが、現在はティンダ地域にだけあり、その傘下に7つの林業事業所がある。ハバロフスク地方代封能性は最近抹消され、現在、ロシア全土には9つの林業事業が活動中」と話した。
北朝鮮の林業代封能性は、代表者、技師長、副代表で構成され、代封能の下に党委員会所属の責任書記、組織書記、宣伝書記がいる。それぞれの書記の下に作業員2〜3人ずつが配置され、伐木労働者を監視するの保衛部員までも含めたとしても、代封能の規模は大きくないと推定される。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面キム氏によると、現在、ロシアには、林業、建設、農業、鉱業分野などで数万人の北朝鮮労働者が派遣されているが、林業と農業を通じた外貨稼ぎは思わしくない状況だという。中国人との低賃金の競争で負けているからだ。
キムさんは「北朝鮮の林業省の所属でロシアに派遣された労働者は、80年代初めは2万人余りがいたが、現在はハバロフスクに約4000人、その他の地方に2000人の計6000人程度。この中でも2000人は伐木事業ではなく、建設部に派遣されている」と説明した。
最近では、むしろ軍部隊所属の企業の活躍が目立つ傾向にある。キムさんは「北朝鮮の空軍司令部は、ロシア空軍と協力して飛行場周辺地域で農業を行っている。偵察総局まで含めると、北朝鮮軍部は最低でも数万人をロシアに派遣した」と推定した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面また、キムさんは、伐木労働者の離脱が継続的に増えており、現在のロシア在住の脱北者の規模を600人以上と予想した。
「2006年に林業省の幹部らがロシア一帯を回りながら、脱北者たちを本国に連れ帰ろうと説得したが、ロシアで定住している脱北者らは、聞く耳を持たなかった。この当時に598人の脱北者がいたので、現在はさらに増えているだろう」と話した。
「ロシア政府は中国のように脱北者を強制送還しないため、脱北者らは結婚し職も持ってロシアで生活している。ロシア警察当局は、強制北送された脱北者が公開処刑されたり、家族が処罰されることを認識しており、2005年から脱北者を人道的次元で保護している」と付け加えた。
また、ロシア地域での脱北者の増加に対応する為に、北朝鮮の国家安全保衛部と人民保安部から人員を派遣し脱北者の送還に力を入れているが、ロシア当局の協力拒否によって成果を出せずにいる。これに加え派遣人員がロシアで資本主義に触れ脱北するケースもあると、キムさんは説明した。
伐木労働者たち脱北の原因は、賃金搾取と人権蹂躙が代表的であり。キムさんは「賃金搾取に食料も与えずに仕事だけさせる。以前は絶えず仕事が有ったが、今では仕事も途切れがちで、企業所の収入自体が減っている」と話した。
このような状況から数カ月分の賃金の滞納が発生し、支払われた給料すらも食事代や党費などの雑費を差っ引くと、労働者の手には50〜60ドルしか残らないという。故郷に送金すれば労働者の手元にはほとんど残らず、現地での生活が非常に苦しいという。
依然として林業事業所での労働者に対する監視と統制は厳しい。毎週の生活総括や集団生活を強要される。また、離脱を防ぐために、労働者同士を互いに監視させ、中隊毎に保衛員が点検しているが、生活苦にあえぐ労働者の脱北は増え続けている。
キムさんは「伐木労働者のほとんどはお金を儲けて故郷に帰りたがっている。脱出に失敗すれば無条件で北朝鮮に送還され、本人と直系家族は教化所や管理所等に送られる」と話した。