金正恩命令「火葬場でリサイクル」の実態に北朝鮮国民が驚愕

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北朝鮮の金正恩総書記は「自力更生」の掛け声の下、軽工業部門の原材料の国産化、再資源化(リサイクル)を強く呼びかけている。コロナ鎖国によるモノ不足を補うため、国内に存在するありとあらゆる物資をリサイクルして作られた製品は、「8.3製品」と呼ばれる。

隣国の中国では1950年代、不足する鉄鉱石を補うため、鉄製の農機具や鍋、釜を供出させ、溶かして製鉄を行なったものの、使い物にならない低級品ばかりを生み出した。農機具不足から農業生産量が低下し、大量餓死を招いた「大躍進」である。現在の北朝鮮のやり方は、この悪しき前例を彷彿とさせる。

一方、平壌の五峯山(オボンサン)奉仕事業所は、リサイクルの「功績」が認められ、優秀事業所に選定された。ところが、原材料の出どころはとんでもないものだった。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平壌の情報筋によると、この事業所は、リサイクルされた原材料を使って様々な衣類、家具などを次々と生産し、朝鮮労働党から国家経済発展5カ年計画の優秀事業所に選ばれた。

実はこの五峯山奉仕事業所、リサイクル用品の工場を営んではいるものの、本業は火葬場の運営だ。遺体から寿衣(スイ)と呼ばれる死装束を剥ぎ取って服を作り、棺桶の板を使って家具を作っていたのだ。

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(参考記事:「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」北朝鮮権力層の猟奇的な実態

北朝鮮では火葬に対する抵抗感が強く、土葬が一般的だ。だが、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころに、山が餓死した人の墓だらけになったのを見た金正日総書記の指示に基づき、1999年に完成したのが五峯山奉仕事業所だ。

評価を得ると同時に、遺体を荼毘に付すための燃料の購入費に当てるため、このような行為を行なっていると思われるが、何も知らない消費者は、安くて実用的だとこの事業所の製品を購入しているとのことだ。もちろん、事業所は死装束と棺桶をリサイクルしていることを公表していない。

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「事業所が生産した服と家具が、遺体から剥ぎ取ったリサイクル品を使って作ったものであることが知れ渡ったら、誰が買うものか」(情報筋)

北朝鮮当局は、コロナ感染の疑いで亡くなった人の遺体を火葬するよう指示しているが、韓国の月刊朝鮮2020年5月号は高位脱北者の証言として、同年2月ごろ、この五峯山奉仕事業所に、急性肺炎で亡くなった人の遺体が溢れていたと報じている。今回リサイクルされた死装束や棺桶は、コロナによる感染症で亡くなった人のものである可能性が考えられる。

(参考記事:高熱の死者をそのまま火葬…「新型コロナか」北朝鮮で疑念広がる

同様の事例は、別の地域からも報告されている。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、清津(チョンジン)再生繊維工場、清津ペンキ工場、清津家具工場が模範工場として知られており、党の決定を貫徹した模範事業所となっている。

これら工場は他とは違って、従業員にリサイクル用の原材料や現金を上納せよとのノルマを課さずとも、安定的に原材料が供給されていたが、その一部は市の火葬場から供給された死装束と棺桶だった。

情報筋によれば、このことを知った市民は、「国は自力更生、自給自足で経済的難関を突破できると言って、自立経済に向けた人民のポテンシャルを云々しているが、どれだけ追い詰められたら死者の遺体から服を脱がせて、棺桶を解体してリサイクル品を作らなければならないのか」と激しい怒りを示し、また呆れ返っている。

北朝鮮のリサイクル品は粗悪だとして消費者から見向きもされないものもあり、死者の尊厳を踏みにじってまで作った物が、無駄になってしまうことも考えられる。

(参考記事:「金正恩印の粗悪品」を完全無視する北朝鮮の消費者たち