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最近、北朝鮮の教育省は「優秀な民族の言葉を生かすために、国語の授業を強化して、我が民族の固有の言葉を積極的に奨励しなければならない」という指示を各学校に下したと、デイリーNKの内部情報筋が5日伝えた。

情報筋はこの日、記者との通話で、「職場に行ったら『我が民族の優秀な美風良俗と、固有の民族の言葉を積極的に生かして使おう』という題名の解説資料を読まされた」と述べた。

北朝鮮の代表的な言語学者である、社会科学院言語学研究所のチョン・スンギ教授は、北朝鮮の雑誌「文化語学習」(2007年3号)への寄稿文で、「わが民族の言葉は、北と南で互いに異なる道を歩み、その差がますます拡大している」と述べ、英語と漢文崇拜思想の排除を主張した。

情報筋は、北朝鮮政府の民族語と国語の強調は、2000年代に入って流行り始めた中国語と韓国のドラマを通じた、外来語の氾濫への対策と思われると伝えた。

1990年代半ばの食糧難以後、脱北者や中朝貿易、中国の商人たちの北朝鮮への投資が急増し、中国の文化が流行り始めた。北朝鮮の若者の間で、中国映画や中国の商品、中国語を学ぶための熱気が高まり、個別の商品の名前も中国語をそのまま使うのが一つの風潮になった。

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例えば、当局が提示した「リモコン」の訳語は「遠隔操縦機」だが、実際は「ヨクンジ」または「ヨクン」と呼ばれる。これは、中国語の「搖運機」(ヤオコンチー)が訛ったものだ。

また、携帯電話も「ソンジョナ」(手電話)よりも、「タグダ」「ソジ」という「大可大」(タークーター)、「手機」(ショウチー)が訛った言い方が使われていた。

国境地域では、冷蔵庫が「レンジャンゴ」ではなく「ピンシャン」と呼ばれ、VCDは「ウィーシーディ」、「タルリ」(ナイロンの布)、「グホン」(リップスティック)などの商品名や、多くの医薬品の名称も中国式に変わった。

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だが、2003年からこうした中国文化の流行が韓国文化に移り始め、最近ではその速度が更に進んでいると情報筋は伝えた。最大の変化は、韓国を昔のように南朝鮮と言わずに「韓国」と呼んでいる点だ。2000年代初頭から平壌の若者たちが、「南朝鮮」という呼称は野暮ったいと言うようになったという。

「中国の文化が流行遅れになりつつあり、韓国の文化がそれに取って替わる傾向が見られる。住民の間で、韓国の映画や韓国の商品に対する需要が急増し、韓国ドラマを通じて知った言葉が流行っている。中国よりも韓国がよい暮らしをして、同じ民族だから、より同質感を感じるようだ」(情報筋)

この情報筋は、「食堂で食事案内などという言葉を使う人はいない。今では多くの人がメニュー’という言葉を使うからだ」と言った。

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「韓国文化の急速な普及は、北朝鮮政府が作った『ソンジョナ』ではなく、中国語の『ソジ』になり、韓国式の表現である『携帯電話」に早くも変わっていることからも分かる。市場でクック(電気炊飯器のブランド名)やカラーテレビなど、韓国式の名称が、何の統制も受けずに使われている」(情報筋)

情報筋に、最近の北朝鮮で流行している韓国の言葉を挙げてもらった。ダイエット、ウェルビーイング(健康食)、ミュージックビデオ、、ソーセージ、シングル(独身)、ワイフ(妻)、ドレス、ポップソング、ファストフードなどだ。

咸鏡北道の鏡城(キョンソン)出身の脱北者、キム・ギョンウク(仮名、32歳)さんは、言葉の変化を次のように語った。

「以前は精神的に大変なことにあったら、『陰鬱だ』という言葉を多く使ったが、最近若者たちは『いらいらする、ストレスだ』という言葉を使っている。年長の人たちもこの言葉の意味をすべて知っている。わずか3年前までは北朝鮮の人は、韓国映画を見てもストレスの意味がわからなかった」

脱北者たちによれば、ミスコリア(きれいな女性)、ショーをする(演劇、にせ物だ)’、撃つ(食事代などをおごる)、活気ある(情熱的だ)、シングル(独身)、ワイフ(妻)など、韓国ドラマに出てくる新しい言葉が若者を中心に使われるようになったという。

これについてキムさんは「韓国のドラマや歌を鑑賞する人たちは、韓国の言葉にかなり関心を持ち、それを受け入れて理解しようと努力する。そして、政府の統制を離れて、できる限り実践してみようと努力している」と語った。

こうした韓国式の言葉の普及は、北朝鮮の人たちの間で、韓国に憧れて改革と開放を追求する気持ちが高まっていることを見せていると脱北者たちは言う。

脱北者同志会のイ・チョルミン運営部長は、「厳しく制限された世界で過ごしていて、外部の文化に接すれば、非常に新鮮な衝撃を受けることになる。また、発展した社会と文化に憧れることは、当然の心理と思われる」「そうした好奇心や韓国語の拡散は、北朝鮮の変化だけではなく、南北の異質感の解消にも多く寄与できる」と肯定的に評価した。