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金正日総書記の指示で栽培、製造が進められたアヘンや覚せい剤。海外に密輸して、不足する外貨を稼ぎ出すためのものだったが、横流しによって国内で流通するようになり、不足する医薬品の代用品として使われたりするなどして、中毒者が急増した。

2013年に刑法を改正し、不法アヘン栽培・麻薬製造罪を新設、取り締まりに乗り出した効果で一時ほどの蔓延ぶりではなくなったが、薬物中毒の治療が難しいことは広く知られている。北朝鮮国内でも別の薬物が新たに蔓延し、当局が対策に乗り出したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、道内では薬物のオーバードーズ(過剰摂取)による事故が相次ぎ、中央に報告される事態となった。中央の指示に基づき、安全部(警察署)や医療機関が調査を行った結果、様々な事例があることがわかった。

一例を挙げると、病気の苦しみや生活苦を忘れるために覚せい剤を使用していた人が、その副作用で眠れなくなり、今度は睡眠薬を飲み始めたが、その量が徐々に増え、最終的に死に至ったというものだ。

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オーバードーズが指摘されているのはジアゼパム、ジフェンヒドラミン、エフェドリン、カンファー(樟脳)、アンナカなどの鎮痛剤、睡眠導入剤などとして使われているものだった。

ジアゼパムは不安、けいれんなどを抑える鎮静薬で、日本でも一般的に使われている。ジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン剤、睡眠導入剤として日本でも使われているが、ロシアではジメドロルの名でアンプルに入った状態で売られている。エフェドリンは、日本で風邪薬に入っていたが、乱用が報告され、購入数が制限されている。ちなみに、エフェドリンは覚せい剤の原料ともなる。

これらは一部を除いてすべて北朝鮮製だ。北朝鮮は、医薬品を中国などからの輸入に頼っているが、コロナ鎖国で輸入ができなくなり、国内製品が出回っているようだ。しかし、製造工場名、成分などが表示されていない粗悪品で、大量に摂取した場合は致命的であることが判明した。

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当局は、これらの薬品の薬局や市場での販売を禁止し、医師の処方箋を得た上で、病院の技術部の院長、院長の承認を受けてようやく処方される形に変更された。

両江道の情報筋によると、市場で薬を取り扱っていた商人が、今回の措置により大きなダメージを受けている。また、本当に薬を必要とする人も購入できなくなってしまい、根本原因を見つけて現実的な対策を提示せず、ともかく禁止しようとする当局のやり方に対する反発が高まっていると伝えた。

そもそも、国営の人民病院で診察、治療を受けるにはワイロが必要で、薬も市場で購入せざるを得ないような状況となっている。小手先の禁止令を繰り出したところで、ワイロでなし崩しになるのは時間の問題だろう。

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