人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

昨年の延坪島砲撃事件以後、韓国軍と大統領府は、再び北朝鮮の挑発があれば『強硬対応』で返すと繰り返している。再度、挑発があれば、はるかに規模が大きい報復をすると主張する。

このような警告を数多く繰り返してきた韓国行政府の選択肢は狭まりつつある。再度、北朝鮮の挑発が起き、韓国が強硬対応をしない場合、李明博(イ・ミョンバク)政府とハンナラ党は激しい政治的なダメージを被るだろう。強硬対応問題は、韓国政府の体面に関連した政治的問題になりつつある。

残念ながら、この動きは危うい変化と考えられる。南北関係の歴史を振り返ると、天安艦事件や延坪島事件よりも、はるかに大きい事件はあった。北朝鮮は、朴正煕・韓国大統領暗殺事件を少なくとも二回試み(68年の青瓦台襲撃未遂事件と74年の文世光事件)、115人の一般住民が乗った旅客機を爆破するなど(87年大韓航空機爆破事件、大小のテロ行為を繰り返してきた。しかし、韓国側は、これらのテロを黙殺し、象徴的な意味を持たない外交措置以外では、いかなる対応もしてこなかった。

以前、ある中国の学者は韓国の対応を「右頬を叩かれれば左頬を差し出す」と述べた。かつては、このような立場に合理主義的な説明があった。是非はともかく、韓国側は報復するしかない。しかし韓国の強硬対応は、北朝鮮よりも韓国に大きな損失を与えるかもしれない。

韓国政府は北朝鮮のテロと挑発を無視しながら、報復よりも自国の経済開発に集中した。李明博政府も、朴正煕政権、全斗煥政権に習うことが望ましい。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

なぜ、韓国は北朝鮮に深刻なダメージを与えられないのか? 仮説的に考えてみれば北朝鮮が、もう一度規模大きい挑発をした場合、韓国が可能な強硬対策は何だろうか?

韓国は北朝鮮の海軍基地を空襲する事もでき、北朝鮮長射程砲陣地の一部を破壊する事もでき、師団、軍団本部、もしくは平壌近辺に位置する軍事、偵察中央機関まで空襲することができる。韓国軍の能力からすれば、このような軍事作戦が成功する可能性は100%ではないが高いようだ。とすれば、このような軍事的な空襲で得る政治結果は何なのか。

これらの報復で、ある程度のダメージを与えることはできるだろう。しかし、北朝鮮のような絶対世襲独裁国家は庶民の生命に価値を見いださない。1990年代に北朝鮮のパワー・エリートは多くの農民を餓死させた。これほどの民衆を犠牲にした政権は数百人程度の兵士の死ぐらいなら問題とは思わないだろう。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

ある人々は、韓国の報復が北朝鮮の人々に、朝鮮人民軍と金正日政権に無能力を見せつけて、に政治的なダメージを与えられると主張する。

しかし、筆者が見たところ、その可能性も高くない。北朝鮮では、徹底的に言論が統制されていることから、軍事的な屈辱的な敗北でさえも光栄な勝利のように見せる能力がある。もちろん真実は広がるだろうが、さほど大きな危険にもなるとも思えない。逆に、韓国による報復を「米帝とその手先による侵略行為」と見せることによって、住民の思想統制に利用しようとするだろう。

別の見方としては、このような報復が戦争拡散を招くと考える。北側は、韓国が決して戦争を望まなくとも、韓国からの反撃を大規模戦争の開始と誤認するかもしれない。さもなければ、報復の規模が大きいと判断した場合、今度は北朝鮮が報復を試みる可能性がなくはない。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

また、北朝鮮中級司令官が、本部との関係が断絶された場合、自動的にこの衝突が戦争と判断し、自分の決定通りに、対南空襲をはじめる可能性がある。

もちろん、これらの悪夢のストーリーの可能性はそれほど高くない。だが、韓国の報復が戦争まで広がった場合の結果に対しては否定的と言わざるを得ない。結果的に、このような強硬対策は北朝鮮政権を助けるとも言える。北朝鮮政権が、国際社会と韓国国民に知らしめようとしているのは『北朝鮮に譲歩をしない場合は、朝鮮半島と東北アジアが危険になる』とのメッセージだ。

韓国の報復は、この北朝鮮のメッセージを補完するだろう。世界のメディアは、『第二次朝鮮戦争勃発』を報道するだろう。韓国による報復は、朝鮮半島の緊張を高めるだけであり、これはまさに北朝鮮政権が望むシナリオだ。

だからこそ、冷静に危機を判断すべきだ。今のように危機的な朝鮮半島で、ベストの選択とは何なのか。もちろん、北朝鮮が挑発しないことが最も望ましい。しかし、このような希望は現実性に欠く。北朝鮮政権の唯一の目的は体制維持だ。彼らは、体制維持のためにあらゆる手段をとる。

韓国にプレッシャーを与えるために、挑発をするのが北朝鮮の本来の行動だ。北朝鮮に挑発をするなというのは、オオカミにウサギを狩って食べるなという話と同じだ。北朝鮮の新たな挑発に直面する韓国政府は、冷静に判断しなければならない。

北朝鮮の挑発に対して最も重要なのは、過剰対応をしないことだ。かつての韓国政府は、最近の挑発よりも、はるかに危険で破廉恥な挑発を無視した。その結果、彼らは朝鮮半島の平和を維持し、さらには韓国経済成長と社会開発のための有利な条件を作りあげた。

筆者が見るところ、強硬対応は危険な錯覚だ。朝鮮半島の平和を維持し、韓国と北朝鮮の人々が近い将来統一国家として幸せに暮らせるように南側は状況を冷静に分析して正しい決定を下すべきだ。