中国国境に接する北朝鮮の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)。
当局は、コロナ対策と称して、この地域に対する封鎖令(ロックダウン)を乱発。経済活動はおろか、外出すらままならず、ステイホーム用の食べ物が確保できなかった貧しい市民の餓死が相次いでいる。一時は合法、非合法の貿易・物流の中心地として活気に満ちていた町が、今では殺伐とした空気に包まれている。
そんな中で、凶悪な強盗殺人事件が発生し、市民が恐怖に震えていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
(参考記事:北朝鮮、1カ月の都市封鎖を18日で終了…背景に市民の不満)殺害されたのは、携帯電話の販売業を営んでいた40代女性のチェさん。
事件が起きたのは、ロックダウンが解除されてまもない先月21日午前9時ごろのこと。チェさんの住むマンションを、女性3人が訪れた。携帯電話を買いに来たと告げられた警備員は、疑うことなく3人を通した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面40分ほど経っても、人が出てこないことを不審に思った警備員は、チェさんの家を訪ねてみた。彼がそこで目の当たりにしたものは、恐るべき犯行現場だった。
布団で簀巻きにされて鈍器で頭部を殴打され、刃物で刺されたチェさん。警備員が見つけたときには、既に息絶えた後だった。3人は、家の中にあった携帯電話と現金を大慌てで袋詰めにしていた。
警備員の悲鳴を聞きつけた近隣住民は何事かと一斉に家の外に出て、人民班長(町内会長)は安全部(警察署)の分駐所(交番)に通報した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面逮捕された3人は、いずれも20代の女性だった。コロナ対策の長期化で生活が成り立たなくなり、カネを奪う目的で強盗殺人に及んだのだという。北朝鮮では1990年代の大飢饉「苦難の行軍」に際しても犯罪が増加。当局は恐怖政治を強化して、社会の統制を保とうとした。
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今回の事件以外にも、携帯電話商が殺害される事件が相次いでいる。犯人の逮捕には至っていないが、犯人はまたもや若い女性ではないかと、市民は噂している。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面強盗殺人が多発する状況に対して、地方政府は何の対策も示せておらず、市民の間では恐怖心が高まっている。
当局の失政が市民の怒りを買う事態が相次いでいる恵山だが、一連の事件の犯人逮捕ができないとなれば、市民の不満はより一層高まるだろう。
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