2018年の冬季オリンピック開催地に平昌(ピョンチャン)が決定したとの発表に、韓国全土が歓喜した。全国民が喜びを共にした瞬間だ。
韓国が冬季オリンピック誘致の喜びを満喫している中、北朝鮮内部の雰囲気はどうだろうか。ソウル五輪が決定した当時、北朝鮮内部に大きな動揺があったと言われており、今回も相当ななんらかの動揺があると思われる。
故・黄長ヨプ(ファン・ジャンヨプ)元北朝鮮民主化委員会委員長は『回顧録(時代精神発刊)』で、ソウル五輪が決定した当時の北朝鮮内の状況を次のように記している。
「(金正日は)ソウル五輪開催に刺激を受けたせいか、膨大な規模の体育施設の建設に熱を上げた。彼は、平壌でもオリンピック(第13回世界青年学生祝典)を開くと騒ぎ、国力に見合わない多くのスポーツ施設を着工した。(中略)光復通り、統一通りを建設するよう、人民を追い詰めた」
韓国との体制競争に力を入れていた北朝鮮は、オリンピックという世界的なスポーツ祭典を誘致した韓国を牽制するために、住民に苦痛を強要した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面当時、北朝鮮民主化委員会のソ・ジェピョン事務局長は、平壌世界青年学生祝典に向けた平壌の住宅増築に動員されたという。
同事務局長は7日、デイリーNKとの通話で、「80年代半ばにソウル五輪開催のニュースを労働新聞などで見た当時、北朝鮮当局は五輪開催が分断を加速させる行為だと大々的な非難をしていた。共産陣営にボイコットを呼びかけていた」と覚えていた。
「体育施設と平壌増築に多くの青年学生と軍人が強制動員された。多くの人が怪我や死亡した。建築中のマンションの倒壊で1個大隊の兵力が死傷する事態まで起きた」と証言した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮改革放送のキム・スンチョル代浮焉A「当時、祝典を準備していた若者から、苦労話を聞いている。また、祝典開催資金を調達するために、各家庭から骨董品、薬草など、金になる物をかき集めた。外貨稼ぎを通じ資金を充当するためだった」と説明した。
北朝鮮の中央放送記者出身のチャン・ヘャ梼≠ヘ、「平壌の建築現場で多くの若者が死んだという。特に、統一通りの建設で多くの若者が犠牲になった」と当時を振り返った。
一方、世界北朝鮮研究のアン・チャンイルセンター所長は、ソウル五輪開催のニュースは北朝鮮が韓国を見直す結果になったと述べた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「ソウル五輪開催のニュースは、韓国の発展の姿を知ることができた初めてのきっかけだった。南北を比較し、評価する意識が生じるようになった境目だろう」と評価した。
「当時、建設現場に動員された青年学生と軍人には、暗黙的な不満があった。言葉では表現できなかったが、相当の苦労を強いられているとの不満が高まっていた」と伝えた。
しかし、同所長は、「今回の平昌五輪開催決定は、80年代の様な北朝鮮の体制競争には繋がらないだろう」と付け加えた。北朝鮮の経済水準は、80年代よりも大幅に低下しており、以前のようにな競争・対決をする力は既にないからだ。