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6月23日、日本東京都内でアジアプレス主催のセミナー「揺らぐ金正日体制、最新内部映像から国内情勢を探る」が開催された。

長年、北朝鮮の取材を続けるアジア・プレスの石丸次郎氏は、北朝鮮内部の取材パートナー「キム・ドンチョル氏(仮名)」が撮影した映像を中心に、北朝鮮社会の変化、特に住民の経済活動の変遷について説明した。

石丸氏は、貨幣改革以後にコチェビが増加していることを指摘する。その原因として「2000年以後、住民達が作り上げた市場経済により、相対的に食糧事情は悪くはなかった。しかし、貨幣改革によって住民の蓄えていた現金などが国家によって奪われ、経済活動が萎縮している」と北朝鮮当局がコチェビをつくり出していると述べた。コチェビとは以前は、子供のホームレスを表す言葉だったが、最近では大人や老人のホームレスもコチェビという。

経済活動が萎縮しているなかで、住民が自らの力で作り上げた市場主義、すなわち「草の根市場主義」の試みも紹介された。『チャト=自土』と言われる国家とは独立した会社が運営する炭鉱がそれだ。

参加者からも、特に注目が集まったこの『チャト』とは、『リムジンガン5月号』によると、組織や個人の投資家が、公的機関の『看板』を借り受けて、その一部として直営する実質的な『会社』だという。配給がない国営企業と違って、働けばそれなりの配給がもらえる、まさに市場経済の法則で運営されている。雇用形態も非常に緩いという。

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また、後継者である金正恩についての住民の反発の声も映像で紹介された。ある住民は「若造」とあきらかに金正恩を揶揄する。金正恩に対しても強盛大国のスローガンに対しても、冷めた住民の視線は、デイリーNKが伝えてきた内部の声とも一致する。

セミナーでは「情報」においても変化が起こっていることが紹介された。アジア・プレス北朝鮮取材チームのリ・ジンス氏は、携帯で撮影された短い動画を紹介しながら、閉ざされた社会がデジタルツールによって解放されつつあると説明。動画の中の住民は、撮影されていると分かっていても特に気を留めず、情報が閉ざされた社会に確実に変化が起こっていることを端的に表す。北朝鮮でも、いわゆる「デジタルマニア」が存在し、携帯やデジタルツールを、自分たちの都合のいいように勝手に改造したりするという。

「今後も、動画や静止画を撮影出来る携帯電話の普及は止められない。仮に、中東のように住民暴動が起こった場合、その姿が撮影され外部に伝わる可能性は十分にある」と話した。

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