北朝鮮が、女性権利保障法(2010年12月)、 児童権利保障法(2010年12月)などを制定したと伝えられた。これは、国際社会の児童や女性への人権侵害の批判を避けるための動きと思われる。
韓国政府が最近入手した資料によると、北朝鮮・最高人民会議常任委員会は、昨年12月の児童権利保障法と女性権利保障法を採択し、国際基準に沿った人権保障を行うと明示した。
児童権利保障法は、生活、教育、保健、家庭など、社会の全ての分野での児童の権利と利益を最大限に保証し、生命権と成長権などを明示した。また、人格を尊重し、家庭での体罰の禁止、相続権の保障、人身売買の禁止、労働の禁止、刑事罰・死刑の禁止など、児童の権利を包括的に規定した。国際機関では児童の年齢が18歳未満とされているが、北では16歳となっている。
特に、夫婦の離婚問題が発生した場合、「男性は妻が妊娠中または出産後1年以内の場合は、離婚を垂オ立てることができない」と明示した部分が目を引く。
関連法では、「離婚は子どもの不幸。親は子どもの成長と発展のためにも離婚をしてはらなず、機関や企業所などは、児童の利益のために親が別れない様に教育しなければならない」と明示した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面女性権利保障法は、女性の地位と役割の向上に向け、男女平等を基本前提とし、選挙権と被選挙権、女性の幹部への登用、労働権利、家庭内暴力の禁止、人身売買の禁止などを規定している。
しかし、これらの法規定は、北朝鮮の現実との乖離が大きい。国際社会への防衛用と思われる。
また、法案の内容は、一般的な民主主義国家と比べても遜色がない程度だが、実際にこの法が執行される可能性は希薄であると言える。特に、食糧難が深刻化している中で体制維持のための監視と統制が強化されており、人権が保障される見込みは低い。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面脱北者らによると、経済難の影響で児童の教育、生活、保健など、児童の権利が保証されていない。特に、集団体操アリランでは、2万人に登る児童が強制動員されるなど、人権侵害が深刻である。
女性の人権侵害も社会全体で恣行されている。性暴力、人身売買、売春、家庭内暴力などが一般的に起きていると言うのが、脱北者の証言だ。
アムネスティインターナショナル(AI)は、先月の2011年次報告書で北朝鮮の人権実態と関連し、「恣意的な拘禁や拷問、不当な扱いが原因での死亡や処刑が行われるなど、広範な人権侵害が続いている」と指摘している。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面また、ユニセフなどの国際機高ノよると、毎年、5歳未満の乳幼児4万人が深刻な栄養失調にかかり、乳幼児の3分の1が発達障害を抱えている。
これと関連し、政府消息筋は「北朝鮮が国際社会からの女性・児童の人権改善の要求に対応するために、法律を制定したものとみられる。北朝鮮の現実から判断すると、実際に執行されるかは未知数。北朝鮮は国際機関との人権関連の論争では、これらの法制定を根拠に人権保障を主張するだろう」と付け加えた。
これと共に、北朝鮮は、海事訴訟関係法(2011年1月)、鉄道車両法(2010年12月)、 普通教育法(2011年1月)、園林法(2010年11月)なども制定した。
普通教育法は、最高人民会議政令によって、就学前の1年、小学校4年、中学校6年など、5〜16歳の無料義務教育を明示した。この法では、優れた素質と才狽?揩ツ学生を厳選し、ふさわしい体系的な教育を通じ、有能な人材を育てるという『秀才教育』も明示されている。
また、最高人民会議常任委員会は、社会主義経済建設を担う鉄道車両法と、衛生文化的な生活環境を創造する園林法などを制定した。