「極悪な帝国主義の元凶」金与正、北の反バイデン路線を主導

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米大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が勝利したことを受けて、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹・金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長が、軍幹部を対象にした思想教育を推進しているという。

最近、対米外交の前面に出てきていた金与正氏だが、脱北者の対北ビラ散布を巡って韓国の文在寅政権に対して見せたのと同じように、米国に対しても「強硬派」としての顔を見せ始めているようだ。

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デイリーNKの内部情報筋が伝えたところでは、金与正氏は7日、「醸成された情勢に対処して分部隊別の特別講演を組織することについて」と題した指示を、軍総政治局に下した。指示は、特別講演をどのように進行すべきかを細かく定めたもので、講演の参加者を部隊別の「幹部学習班」に網羅されている軍官(将校)たちに限定しているという。

この指示を受け、総政治局は「世界的な非難と糾弾を受けた米国選挙の腐りきった腐敗像」と題した学習資料を各部隊に配布。9日に最初の講演が行われた。

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講演では、激しい罵り合いとなったバイデン氏とトランプ氏のテレビ討論などを念頭に置いたのか、「自分たちの利益に抵触する国々に対しては手段と方法を選ばず圧殺しようとする本性が、互いに中傷し貶める選挙にありありと反映された」などと指摘。

さらに「新たに選ばれたバイデンは表では平和を(唱え)、裏ではわが共和国を丸ごと飲み込もうとする極悪な米帝国主義の元凶であることを肝に銘じ、首領の軍隊、党の軍隊として戦う準備の完成に拍車をかけなければならない」と強調したとのことだ。

講演で「戦う準備」に言及したのは、12月から冬季訓練が本格化するのを控え、軍内部の結束を高める目的があるのかもしれない。また、バイデン氏の勝利が世界から概ね歓迎されている状況に影響され、指揮官たちの間にバイデン氏に対する幻想が生じることを警戒しているとも考えられる。

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ただ、講演を聞いた側の反応はシラケている。情報筋によれば「朝米首脳会談の後も何も変わったことなどないのに、誰が(米大統領に)なろうが、何が起きようが関係ないという雰囲気」だという。