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米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は先月27日、匿名を要求した両江道(リャンガンド)の軍関係者の話として、特殊部隊の「暴風軍団」こと朝鮮人民軍(北朝鮮軍)第11軍団が、中国との国境地帯に地雷を埋設する作業を行っていると伝えた。

作業は、最高司令部の指示に基づき先月から始まり、殺傷半径が3メートルから3.5メートルに達する最新型の地雷を、国境地帯の中でも、警備が手薄な地域を中心に、60メートル間隔で埋設している。

実はこの地域、今までは地雷が埋設されていなかった。

朝鮮半島は、世界中で最も武器が集中している地域と言われているが、それは韓国との間にある軍事境界線を中心にした地域で、大量の地雷が埋設されている。それが水害のたびに流れ出し、事故を引き起こしている。

(参考記事:【動画】吹き飛ぶ韓国軍兵士…北朝鮮の地雷が爆発する瞬間

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それとは裏腹に、北朝鮮と中国との国境地帯には、地雷は設置されておらず、あってもせいぜい爆竹程度だった。水害などで流出した場合、中国側に被害が発生し、国際問題に発展しかねないという配慮からと思われる。そこに今回初めて、地雷が埋設されることになった。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の住民は、RFAの取材に「敵と退治する最前線地域(軍事境界線)ではなく、中朝国境地域に地雷を埋設するのは共和国(北朝鮮)史上初」だと語っている。

だが、拙速な作業で、事故が多発している。

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両江道のデイリーNK内部情報筋の情報では、先月中旬、道内の普天(ポチョン)郡で、対人地雷「BBM-82」の埋設作業中に爆発し、暴風軍団の兵士1人が死亡、3人が負傷した。

負傷者は地元の病院に入院して治療を受けているが、当局は事故の噂が広まらないように隠蔽に汲々としているとという。

軍当局は、事故の原因を「地雷埋設実地訓練の不足」にあったと見て、地雷埋設理論学科と実戦埋設訓練を現地で改めて行っているとのことだ。

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他の地域でも事故が多発している。RFAの情報筋は、暴風軍団と国境警備隊25旅団が合同で地雷埋設作業を始めたが、たった15日の間で爆発事故が多発し、すでに10数人の兵士が目、足、腰を負傷する事態となっていると伝えた。

また、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の別の住民情報筋は、RFAの取材に、国境警備隊27旅団が地雷埋設作業中に事故を起こし、複数の負傷者が発生したと述べた。

「中朝国境地帯での地雷埋設をなぜそんなに急ぐのか、充分な訓練を行わないままで、作業を行ったために、地雷爆発事故が複数件発生した。相次ぐ爆発で、現場に投入された兵士は非常に緊張し不安がっている」(前述の咸鏡北道の住民)

埋設の理由について表向きには「新型コロナウイルス防疫」としているが、実際は密輸、脱北などの防止にあると情報筋は説明した。

北朝鮮は今年1月から、コロナ流入阻止のために国境を封鎖、脱北者、密輸者などを射殺するなどの強行措置に出ているが、それでも人の行き来がわずかながら行われている。地雷を埋設することで住民に恐怖を植え付け、国境警備をさらに強化しようという意図があるものと思われる。

(参考記事:北朝鮮軍、コロナ対策で警告通り違反者を射殺

ただし情報筋は、理由は明らかにしていないが、今後も埋設が続くかは未知数だと述べている。

地元民の反応について、情報筋は伝えていないが、暴風軍団の評判の悪さを考えると、ほくそ笑んでいる人が少なくないのかもしれない。

(参考記事:北朝鮮で特殊部隊と国境警備隊の衝突続く…「発砲」寸前の事態に