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聯合ニュースなど韓国メディアは30日までに、北朝鮮が動画投稿サイト「ユーチューブ」で、韓国などに潜伏する工作員への指令と推定される「乱数放送」を行ったと伝えた。

北朝鮮の海外向けラジオ「平壌放送」は長らく、工作員向けの乱数放送を行ってきた。放送で読み上げられる数字は、事前に決められた書籍など「換字表」のページと行・列に書かれている文字を示すものだとされる。たとえば、大韓航空機爆破事件の実行犯・金賢姫(キム・ヒョンヒ)は換字表に科学技術のパンフレットを使っていたし、原敕晁さん拉致事件の実行犯、辛光洙は新潮社文庫『坑夫』を使っていたことが、捜査結果により明らかになっている。

今回、北朝鮮は平壌放送のユーチューブチャンネルに29日、「0100011001-001」と題した動画を投稿。アナウンサーが「今から710号探査隊員のための遠隔教育大学情報技術基礎復習課題をお伝えします」とし、「564ページ23番、479ページマイナス19番、694ページ20番」などと読み上げたという。動画の長さは1分5秒ほどで、再生回数は1万回を超えていたが同日中に削除された。

北朝鮮がユーチューブで乱数放送を行ったのは、今回が初めてとされる。

北朝鮮は2000年6月15日の南北首脳会談後に乱数放送を中止していたが、2016年6月に再開した。しかし、乱数放送が中止されていた期間にも、北朝鮮は暗号化された電子メールなどで韓国国内の工作網に指示を出していたことが、日韓の捜査機関により把握されている。

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韓国当局は2011年、北朝鮮の工作機関「225局」が韓国国内に築いた地下党「旺載山(ワンジェサン)」を摘発。また2013年の統合進歩党事件では、現職国会議員が北朝鮮の指示で武装組織を建設、内乱を企図していたことを解明した。これらの捜査で韓国当局は、北朝鮮が中国に作った工作拠点や日本の朝鮮総連関係者から韓国に送られてくる電子メールを傍受することで、実態解明の端緒をつかんだとされる。

(参考記事:北朝鮮「スリーパーセル」論争に隠された虚しい現実

一方、ラジオでの乱数放送ならば、受信者が特定されることはない。専門的な技術を要するモールス信号と違って、高度な訓練を受けていない工作員でも簡単に聞き取ることができる。ユーチューブの場合、乱数放送を再生した端末が特定される可能性は残るとは言え、人物の特定まではできないようにする方法は少なくない。またユーチューブならば、ラジオの電波が及ばない地域でも、工作員に乱数放送を伝えることが可能だ。