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来年、北朝鮮で水害による食糧の減少で、第二の‘苦難の行軍’が発生する可能性があるという主張が浮上している。

韓国農村経済研究院の、クウォン・テジン専任研究委員は 、“食料受給を安定させることができる格別の対策を用意しない場合、来年には1990年代の中・後半と類似の状況が起こりうる”と警告した。

クウォン専任研究委員はまた、北朝鮮の最小穀物所要量を520万tとして、実際の穀物生産量は380万t程度と予想されるため、穀物の不足量が140万tに至ると推算した。

このような統計数値を見れば、北朝鮮の食糧危機は現実的に可能性がある。北朝鮮政府の発表にも、全体の農耕地の14%にあたる22万町歩の農耕地が水害で被害を被った。22万町歩は、最低で50万t程度の食糧の減少を予想することができる。

しかし、今回の被害による穀物の収穫高の減少は不可避だが、1990年代中盤水準の大量餓死は発生しないとの主張も根強い。特に、2000年代中盤以後、脱北者たちは大多数が “北朝鮮は飢え死にする状況ではない”と言っている。過去の配給制の状況と現在の市場経済が、住民の生存環境自体を変えたというのだ。

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◆ 膨らみすぎた食糧需要量

北朝鮮の最低食糧需要量が520万tなのかということからよく見る必要がある。一部の北朝鮮専門家や支援団体が提示した最低食糧需要量は、現実と合わないという指摘がある。北朝鮮の住民の最低食糧需要量を韓国式の栄養基準で提示したという批判もある。

北朝鮮の最低食糧需要量が520万tという主張に対して、脱北者たちは、その半分だけあっても1990年代中盤のような大量餓死事態は発生しなかったはずだと言う。

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国際基準による一日の勧奨栄養供給量は2千〜2500kcalであるが、北朝鮮は目標供給量を1600kcalとしている。これは約450gの穀物に匹敵する。北朝鮮の住民が、この位の栄養摂取で満足しなければならないという意味ではない。北朝鮮の現実で飢餓が発生するのか否かをを判断する基準だ。

北朝鮮に必要な最低食糧需要量は、簡単な計算でも解くことができる。

北朝鮮の住民を2200万人とした際、老弱者と幼い子供まで含めて、現在の北朝鮮の成人への配給基準で、一日550gの食糧を配給すると仮定すれば、一日1万2100t、1年なら441万6500tが必要だ。

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しかし、北朝鮮政府は普通、大人に550g、子供と老弱者には一日300gを配給して来た。米国CIAが 2004年7月に発表した’World Fact Book’によれば、15歳から64歳までの人口は全体の67.8%である約1500万人だ。子供と老弱者を約700万人と推算する場合、1年の食糧需要量は377万7750tになる。

北朝鮮政府の基準で、1年間に必要な適正食糧所要量は、377万7750tとされる。北朝鮮の住民は、90年代初めまでこのマニュアルどおり、食糧供給を受けて暮らした。もちろん大量の餓死者は出なかった。

90年代中盤の北朝鮮の大量餓死は、94~98年まで、北朝鮮の食糧生産量が適正食糧所要量にもまったく及ばない200万t前後にとどまったからだ。黄長ヨプ前労働党書記も、96年秋ソ・ガンヒ農業担当書記が、食糧生産量が200万tにもならなくて大変な事になったと言う話を直接聞いたと証言している。

したがって、北朝鮮に実際必要な最低食糧所要量は、377万7750tだとするのが普通だ。もし北朝鮮の食糧生産量が、この最低所要量に全く及ばない300万t以下に下がれば、食糧の価格が天井知らずに上がって、大量餓死が発生する可能性が生ずると見られる。

◆ 生存環境の変化が餓死危機を防ぐ

かつて、配給制だけを待ち、大量餓死を経験した北朝鮮の住民は、もう政府の言葉を信じない。昔は配給を待ち続け、力をなくし倒れたが、今は闇市場で自ら生計を立てる。

90年代中盤に発生した大量餓死は、北朝鮮社会に多くの変化をもたらした。今、北朝鮮の住民は、極少数を除いた大部分の住民が、配給制への依存から脱皮した。生計維持手段も商売、北朝鮮離脱家族の支援、中国との密輸、不動産、さらには空き家の管理まで登場した。

こうした生計手段でお金を儲けた住民は米を買って食べる。北朝鮮の物価調査を追跡している韓国銀行の関係者は、 “2000年の7.1措置以後、価格の上昇が最も少ない品目は、米ととうもろこし”と言った。米の価格が二倍に上昇しても、他の品目に対する支出が減る可能性があり、飢え死にする状況が起らないというのだ。

◆ 商人たちの優れた食糧確保能力

今、北朝鮮には数潤A数百万ドルの財産を持った貿易商たちが出てきており、彼らを中心に市場商人グループが形成された。

彼らは中国を自由に出入りして、北朝鮮国内の市場に、食糧や商品の供給者として登場した。たとえば、市場で米の価格が中国より高くなれば、直接中国で米を買って売る形で、市場で需要と供給を調節する役目をしている。

これに、北朝鮮国内の中国華僑たちと、商人たちまで加勢して、北朝鮮国内の市場で供給者の役目をしている。したがって、北朝鮮の市場で食糧の価格が上昇すれば、彼らは中国から食糧を持ちこむだろう。また、人民軍に保管された備蓄米も引き出して売る。これまで、北朝鮮政府は、外部支援食糧を人民軍に分け、自体生産穀物を備蓄する戦略を使ったという主張もある。

もちろん、食糧の価格が上昇することを予想して、一時的に食糧供給量を縮小する副作用も出てくる可能性があるが、これは一時的な現象に止どまる。北朝鮮でも低い水準だが、見えない手が働いて、飢餓を防ぐ時代が到来したという未熟な観測まで出ている。