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今年、北朝鮮で小学校に入学した児童の数が、前年に比べ大幅に減少した可能性のあることが19日までにわかった。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えたところによると、各地域の安全部(警察)住民登録課と教育部が6月末から7月初めにかけて調査を実施。全国のデータをまとめたところ、現在までに小学校への入学が確認されたのは、学齢に達した全児童の7割にとどまるという。

当局は原因について分析を進めているが、調査の過程で父母から聞かれた声は「食べるものが少ないせいで、子どもの体が同年代に比べ小さくて虚弱で、学校に送れない」「学校からの『税負担』のせいで送れない」といったものが大部分を占めたという。

最近の北朝鮮の食糧事情は、1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の時期などと比べ大幅に改善している。しかしこの間に、国家による計画経済と配給制度は事実上、破たんした。国民は何らかの方法で現金収入を得て食べ物を購入する必要に迫られているが、なし崩し的な市場経済化とともに進行した所得格差の拡大により、その日の糧にも事欠く困窮層が大量に生じていると見られる。

特に、市場へのアクセスが比較的容易な都市部と比べ、農村部などではそうした傾向が顕著とされる。

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また、公式には徴税制度のない北朝鮮だが、中央から各単位への予算配分も乏しい。教育現場も必要な予算を自前で調達せねばならず、その負担は父母に押し付けられる形となっている。さらに、学校は当局が国民に要求する農村支援や勤労奉仕の窓口ともなっており、生計を立てるための労働時間を圧迫している。

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そのような状況下、安全部住民登録課の調査に応じた父母の中には「いっそ子どもを何年か家で遊ばせておいて、もう少し大きくなったら商売をさせるか、家畜の面倒を見させた方がマシだ。自分の子どもを学校へ送ろうが送るまいが(当局に)何の関係がある」といった反応を見せるケースが見られたという。

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これに対して関係当局は、学齢に達した児童を予定通り就学させるよう、父母の職場の朝鮮労働党委員会や人民班(町内会)を通じて措置を講じている。しかし、「困窮家庭の事情をよく知る行政担当者や教職員は、たとえいったん就学させても名目だけで終わり、子どもを継続的に通学させるのは難しいはずだと考えている」(情報筋)のが現状だという。