北朝鮮、軍幹部2人を拘束か…金与正氏が主導「強硬策」に反対意見

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北朝鮮で23日、朝鮮労働党中央軍事委員会第7期第5回会議の予備会議が行われ、「朝鮮人民軍総参謀部が党中央軍事委員会第7期第5回会議に提起した対南軍事行動計画を保留した」(朝鮮中央通信)という。会議はテレビ会議で行われ、金正恩党委員長が司会した。つまりは金正恩氏が保留を指示したということだ。

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)はこれに先立ち、開城(ケソン)工業団地や金剛山(クムガンサン)観光地区に軍を再配置するなどの強硬措置を取ると予告していた。これは、韓国の脱北者団体が金正恩体制を非難するビラを北へ向けて飛ばし、韓国政府がこれを容認してきたことに対して反発した、金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長の談話から始まったものだった。

こうした動きを受けて、妹の金与正氏が強硬姿勢を取り、兄の金正恩氏が抑制するという「役割分担」であると見る向きが少なくない。

一方、上述したような一連の強硬措置を巡り、北朝鮮軍内ではある事件が起きていたようだ。デイリーNKの現地情報筋が伝えたところによれば、開城への部隊再配置に異を唱えた部隊指揮官らが拘束されたというのだ。

軍総参謀部の報道官は17日、開城工業団地の周辺地域に「防御任務を遂行する連隊級の各部隊と必要な火力区分隊を展開する」と表明していた。火力区分隊は、砲兵部隊を意味する。

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情報筋の話では、こうした方針に対し、黄海北道(ファンヘブクト)の平山(ピョンサン)軍に司令部を置く陸軍第2軍団隷下の砲兵連隊長(大佐)と連隊参謀長(上佐)が、山脈や丘陵などの遮蔽物がなく広く開けた開城工業団地周辺に砲兵部隊を配置するのは、敵からの防御が難しく作戦面で不利となると上層部に意見具申した。

すると、上層部はこれを命令不服従ととらえ2人を解任。身柄を拘束したという。2人のその後の処分については不明だ。

これが事実なら、2人の軍幹部は韓国への強硬措置に反対したのではなく、軍事的な合理性から意見を言っただけだ。それにもかかわらず、金正恩氏ら兄妹が示した方針への「反抗」と捉えられてしまったのだろうか。北朝鮮で金氏一族の権威に逆らったら、どんな目に遭わされるかわからない。

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だがもしかしたら、北朝鮮軍の上層部もそのように見なしたわけではなかったのかもしれない。北朝鮮がいったん金与正氏の主導でいったん表明し、金正恩氏がすぐに保留した一連の措置は、やはり断行が決定されたものではなく、韓国政府を揺さぶるための心理戦だったのではないか。

そうであれば、開城工業団地に砲兵部隊を配置するという方針に軍事的合理性が欠けているとの見方にも合点がいくのだ。