車から降りた金正日総書記に向かって、大紅湍郡のキム党責任書記がかけ寄ったが、金正日総書記が手を上げて制止させたため、その場で立ち止まった。
ジャガイモが白米と同じとは話になるか?
その瞬間、異常な気配を察したキム党責任書記は、かみなりが落ちるかも知れないと顔が真っ青になりその場に固まってしまった。のちに、彼は幹部たちに「その瞬間、空と大地がくっついて回るようだった」と、その時の心境を打ち明けている。
金正日総書記は両手を腰にあてて立ち、しばらく1ヶ所を見つめていた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面そこには「ジャガイモは白米のようです。金正日」 と書かれた大きなスローガン(金正日総書記の言葉を刻んだスローガンだ)があった。
それを、しばらく眺めていた金正日総書記が突然、大きな声で笑い始めた。
そしてそこを指して、呆然と立っているキム党書記に、「おい、あれは私が言った言葉か…」と尋ねた。キム党書記は、背筋をのばし、「はい、将軍様。将軍様が去年(1998年)の10月1日に大紅湍郡にいらっしゃった時におっしゃったお言葉です」と答えた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面拍子抜けして、困り果てたような表情をしていた金正日総書記は再びスローガンを眺め、「おい、お前たち。いくらなんでも、ジャガイモが白米になるわけないだろ!あれを今すぐはずせ」と言った。
金正日総書記の指示を受けたキム党書記はすぐに、「分かりました!」と大きな声で答えた後、部下たちに駆けよって「今すぐスローガンをはずしなさい」と言った。
金正日総書記のこの発言は、北朝鮮の対南宣伝雑誌、統一文学の2005年1月号に、“1998年10月1日、金正日総書記が大紅湍を訪問した時、‘ジャガイモは白米と同じだ’とおっしゃった”と紹介され、韓国のメディアでも報道されていた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面当時、大紅湍郡の住民たちは、金正日総書記が訪問したら外出もできなかった。当時、家にいた住民たちは、急にスローガンを撤去しなさいという指示が伝わると、理由も分からないまま現場に駆け付けなければならなかった。
金正日総書記の発言は単純なハプニングだけで終わらなかった。金正日総書記がジャガイモ革命を唱えると、両江道だけでなく、他の地域にまでジャガイモ農業をするように指示したため、とうもろこし畑まで掘り返してジャガイモを植えた。気候的にジャガイモ農業ができない咸鏡南道や平安南北道まで、多くの畑をジャガイモ畑に替えた。
そして、ジャガイモ畑ごとに金正日総書記のお言葉と、‘ジャガイモこそ白米だ’というスローガンを立てさせたが、1年もたたずに宣伝扇動部からそのスローガンを全て撤去しなさいという指示が下った。気候的にジャガイモの生産量が落ちる咸鏡南道と平安南道は、ジャガイモの収穫高が少ないため、何年も苦労しなければならなかった。
このような金正日総書記を、盧武鉉大統領は”国政を掌握する能力がすぐれた指導者”と誉めたのである。(続く)