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北朝鮮の国境沿いの町は、各地からカネやモノが集まることから、犯罪が多発している。中国・武漢を中心に感染が拡大する新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために、国境が封鎖され、合法、非合法問わず輸出入がストップしているが、それでも犯罪は発生する。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、道内最大都市の恵山(ヘサン)で凶悪犯罪が相次いでいるとして、2月10日に市内の恵明洞(ヘミョンドン)で起きた40代男性殺人事件について伝えた。

事件が明らかになったのは11日午前のこと。恵明洞40班の路地で人が死んでいるとの通報を受け、急遽保安員(警察官)が出動した。男性の首にはワイヤーが巻かれ、おりからの寒さで遺体は凍っていた。

保安署(警察署)の捜査担当者は、周辺の聞き込み調査で、被害者が町内に住む40代男性であることを突き止め、麻薬中毒者で家庭不和があったとの住民の証言を聞き出した。それに基づき、男性の妻から事情を聞いたところ、当初は「麻薬を買いに出たまま帰ってきていない」ととぼけていたが、取り調べが進むに連れ、妻の弟が殴り殺したと自供した。

この男性の職業などはわかっていないが、麻薬中毒となり、全財産を使い果たした挙げ句、さらには家財道具も売り払って麻薬を買っていた。事件当日も、家にあったテレビを持ち出して売り払ったことを妻に咎められ、激しい口論となった。それで弟を呼んだところ、弟が夫を殴り殺してしまった。

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二人は、遺体の首にワイヤーを巻きつけ、強盗に殺されたように偽装しようとしていたことが取り調べで判明した。夫の麻薬中毒に苦しめられていたことから、情状が酌量されるだろうと情報筋は見ている。

恵山ではこのように事件が多発している。2月初めには、脱北して韓国に暮らす人からの仕送りを、北朝鮮に残された家族に手渡す送金ブローカーのしごとをしていた女性が殺害される事件が起きている。

(参考記事:北朝鮮で富裕層女性殺害事件、残忍な手口に恐怖広がる

犯罪が多発する背景には、カネとモノが集まるということ以外にも、国境を流れる川を渡れば中国に逃げ込めてしまうという地理的な条件もある。

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(参考記事:北朝鮮からの越境犯罪に激怒か…中国側から「悪口」放送