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北朝鮮北部に住んでいた男性が、韓国のスパイだとして当局に逮捕された。通常なら重罪だが、比較的軽い罪で済まされた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

両江道(リャンガンド)の金正淑(キムジョンスク)郡の情報筋によると、逮捕されたのは40代男性。職業などは明らかになっていないが、「南朝鮮(韓国)の国家情報院(諜報機関)にオルグされ、数年間に渡って内部資料を南朝鮮に渡してきた」として、両江道保衛局に逮捕された。

保衛局が証拠として示したのは、男性が使っていた中国キャリアの携帯電話だ。中国のメッセンジャーアプリ、WeChatで、軍で行われた政治講演会の資料などを画像に撮って送っていたという。

男性は、8ヶ月に渡って厳しい取り調べを受けた。激しい拷問も受けたが、全くとして容疑を認めず、「自分は保衛部の秘密情報員だ」と主張し続けた。

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口からでまかせと思いきや、調査の結果、事実であることが判明した。

裁判で先月30日に下された判決は、人民保安省(警察庁)が管理する政治犯収容所5年の刑だった。本当に韓国のスパイであれば処刑されるか、完全統制区域と呼ばれる一生釈放が認められない収容所送りになっていただろう。

つまり減刑されたということだが、自分たちが放ったスパイを捕まえ、拷問にかけて「韓国のスパイ」だと吐かせようとしたものの、捜査そのものが間違いだったことがわかり、証拠隠滅のように収容所送りにしたとも言える。しかし、別の可能性も考えられる。

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中国との国境に面した両江道には、家族の誰かが脱北して韓国に暮らす人々や、彼らからの仕送りを残された家族に伝達するブローカーが多数存在する。保衛部は、誰がブローカーであるかを把握しており、秘密情報員として利用している。

現地の情報筋によると、昨年夏、同じ金正淑郡である男性が逮捕された。送金ブローカー業を営み、大金を稼いで郡の保衛部政治部長とグルになり、脱北者家族を脅迫し、送金額の半分を横取りしていた。

地元民の恨みを買い、「南朝鮮と頻繁に通話している」との通報が、両江道保衛局に寄せられ、スパイ容疑で逮捕されたが、結局は保衛部の秘密情報員であることが判明した。しかし、同時に国家情報院のスパイ、つまりダブルスパイであることも判明した。

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家族もろとも収容所送りにされるところだったが、保衛部はスパイとしての功労を認め、軽い処罰で済まされた。保衛部は男性を数年後に密かに出所させ、再びスパイとして使っているが、これが再び住民を怒らせている。